
以前、ネスレのカプセル型エスプレッソメーカー「ネスプレッソU」が故障したので修理をしたという話を書きました。
タイムスタンプ見ると、2年半くらい前の話ですね。
今回再び調子が悪くなったので修理しました。
前回同様、なんか液体がぜんぶ内部(排水経路)を通るようになってしまったんですよね。
それも困ったことに、内部を通ることもあれば正しく(外のカップ側に)抽出されることもある、何回かやってもランダム性が変わらない、という有り様でどうしたらいいのか大変困っています。
なんとなく前回と同じような原因のような気もするのですが、とりあえず分解して見てみます。
メモがあったので分解作業がすぐ完了
自分でいうのもなんですが、自分のblogというか日記は自分の生活に根付いたものなので、自分にとっては非常に役立ちます。(違う生活をしている他人にとっては役に立たない・・・ことが大半だと思うが、まぁまれに役に立てば幸い)
つまり、今回も自分の過去の記事を見ながら分解をしたところ、、、
道具も書いてある内容もわかるので、何も迷うことなくススッと分解作業ができました。
書いて記録に残しておいて良かった。
前回のおさらい・・・
前回は
・シーソーを動かすためのプラスチックの凸部分が削れて平らになってしまっている
という状態で、そこを接着剤で膨らませて応急措置をした、というものでした。
昔の写真を引っ張り出すと・・・

これですね。この削れてしまった出っ張りがあれば、シーソーが動いてちゃんと抽出されたコーヒーがカップにそそがれるようになる・・・はずです。
おさらいで動きを書いておくとこんな感じです。

上の鼻のようなパーツが前後(この写真では左右)に動くことで、下のシーソー構造のパーツが(凸部が溝に引っかかることで)動かされるわけです。
前回の修理は
・削れた部分をエポキシ充填剤で膨らませて、そのうえから瞬間接着剤で硬化
・硬化したところを研磨して形状を整える
という対応でした。

このエポキシ材、
・硬化しても表面が柔らかくて「滑って何かを動かす」という用途には向いてなさそう
ということで、前回はこの上から瞬間接着剤(エポキシよりは硬い)でカバーするような感じにしました。
今回の症状・・・よくわからない!!
さて今回はどうなっているかというと・・・こうです。

う、うーん。わからないですね。
なんかちゃんと凸部はあるし、あからさまに削れてしまっているようには見えません。
前回の状況(画像)と並べて比べてみると・・・

なんか同じように見えるんですけどねぇ、、、立体的に比較しないとわからないのかもしれない。
ただ、カバーを取り外した状態で仮組みして動作させてみると、前回同様に
・この凸部が溝に引っかからずにスルッと奥に引っ込んでしまい、シーソーが動かない
ようになっていました。
そして、それ以外の部分で動作におかしなところは見られません。
やっぱりここがまたおかしくなったと推測できます。
こうして別角度からあらためて眺めてみると、凸っていた部分がえぐれているようにも見えます。

セメダインスーパーXは柔らかすぎて不適
というわけで、前回同様にエポキシで凸部を盛り上げてから、、、今回は上からセメダインスーパーXを使ってかためてみました。

が。
このスーパーx、24時間置いても硬化せずに柔らかいまま。(もちろん当初より硬化はしているけど、何かを引っ掛けて滑らせるほどにはカチカチにならない)
これではいけません。
瞬間接着剤の在庫が手元にないのはいずれ困るので新しいものを入手し、(多少削れていっても)しばらく困らないように大きめの凸部を作ろうと、そこらにあったプラパーツをカットして左右の出っ張りとすることにしました。

・・・と思ってやってみたのですが、、、なんだこれ、まったく付きませんでポロッと取れてしまいます。
もしかしたらPPだったのか・・・(そこあらにあったパーツなので素材が不明。ソコソコ硬い感じだったのでPPじゃないと踏んだのだけど・・・)
あるいは接触面が小さすぎて瞬間接着剤に向いてなかったのか・・・
スタイロフォームをパテの代替に?
困ったな・・・うーん、何か他にいい素材はないかな・・・アクリル接着みたいに溶かして一体化するような感じのやつがいいんだけど・・・
と思って見渡すと、ありました、スタイロフォームです。

・・・いやこんな弱い素材アカンでしょ? それに摩擦がすごいのに、こんなの取り付けても滑らんのでは?
全然ダメじゃん?
・・・と思うなかれ。
スタイロフォームは有機溶剤で溶ける、という性質があることを以前のスタイロ加工で学びました。
通常なら「溶けるなら、使えないじゃん」という話なのですが、今回は溶けることを利用してパテのようにならないか、という思いつきです。
(溶けると言っても霧散するということではなく、収縮して小さく、硬くなるのです)
さっそく凸部の上に取り付け、瞬間接着剤を垂らしていくと・・・

なんというか、ゆっくり溶けて柔らかく、しぼんでいきます。
瞬間接着剤とはいえ(スタイロ側が縮む、という動態により)すぐには硬化しないので、その柔らかくフニャフニャした状態の間に、爪楊枝2本を使ってうまいこと形状を整えます。(粘土細工のように)
しばらくすると硬化するので反対側も実施。
「形状」っていうのはこういうやつです。

接着剤のせいでちょっと見づらいですが・・・
このパーツが左に動いたときに、ぶつかる相手を上に跳ね上げるようなかたちになるので、凸部の左側(奥側)がやや下に垂れ下がるような形状になっているわけです。
これを真似て粘土細工をします。
無事にスタイロを利用して修理完了!
というわけでできあがったのがこちらです。

目視で比べ、シーソー型トレイと組み合わせて要らんところがぶつからないか確認し、凸過ぎた部分を少し削り、最後にシリコンスプレーで表面を滑らかにして終わりです。(位置的に液体が流れる場所ではないけど、跳ねたものが再度垂れて飲料に混ざる・・・ということはありうるので、フードグレードのシリコンスプレーが良い・・・が高いんだよねぇ)
仮組み状態で数回動作確認をして、大丈夫そうなので組み上げます。
無事に動作して、エスプレッソがカップ側に出てくるようになりました。

しかしなんというか、ゴムパーツほどではないにしてもプラスチック部品も削れて劣化していくことがあることを考えると、代替部品が作れるように3Dプリンターを導入するとか、ちゃんとしたパテを買った方がいいのかもしれないなぁ・・・
(3Dスキャンを経て精度の高い同等品が自宅で製造できるようになるといいんですが・・・そもそも3Dスキャンが難しそうで、そうなるとメーカーが修理受付や部品提供を終了する代替としてCADデータの公開などをしてくれるといいんですが、まぁそっちはさらにハードルが高いですかね・・・)
まぁなんでも機械がやってくれるようになると人間、考えなくなるので今回のような「スタイロのダメな点とされているものを逆に利用する」みたいなことはやらなくなってしまうんでしょうけど。