先日から石焼き芋で試行錯誤しているのですが、なかなかうまくいかないし、なにより「このままやってもうまく行きそうな気配がまったく感じられない」ので、少しマジメにお勉強をしてみることにしました。
といってもアンチョコみたいなものを、、、つまり、ネットで研究成果を教えてくれている方がいるので、それらを見て知識、情報を入れていこうという話です。
※それにしても失敗ばかりだな・・・という感じではあるものの、そもそも人生なんて失敗ばかりなんだ・・・と思って割り切っていく・・・
石なんか本当に要るの? 加熱が不足していただけなのでは?
初回にも書いたとおり、他の人が「オーブンで160度120分」とか言っているところ、「石をグリルで10分熱しただけ」という圧倒的に少ないエネルギー投入なので、ここに問題があるような気がなんとなく、、、しています。
(なんというか、「無駄がツラい」という生来の貧乏性なので、熱エネルギーをなんとか無駄なく使い切りたいという欲望があるのデス・・・)
石をメインにするのは難しいのかな・・・
なにせ、石焼き芋といいつつ、スーパーでまじまじ見るとそんなに大量の石は使ってないんですよね。たぶん下からガスか電気でずっと加熱しているだけなんじゃない?という気もします。(石はデコレーション的な、イメージ作り的に置いてあるだけのような・・・)

入っている石、カタチも色も適当なのが混ざっていて、なんか駐車場から適当に拾ってきたのを洗って入れただけじゃね? シーズンが終わったらまた駐車場に撒いとけば邪魔にならないし・・・という感も・・・
というようなことをツラツラと考えつつ、加熱不足を頭の片隅に置いて、他の方がどれくらい加熱しているのか気にしつつ調べていきます。
1.ホットペッパーグルメの記事
まずこちらの記事でかかっている時間は・・・
この方は最終的に1~2時間+4時間+1~2時間ということで、合計6時間から8時間。おまけに+のところで2回、違う方法に移し替える作業をしています。
これはなかなか大変だ。。。
ちなみに取材先のpukupukuの人は5時間だとか。
2.料理屋河野さん
つづいてこちら。
いくつかの試行錯誤があり、最終的にはオーブン140~160℃で2~3時間という感じの内容になっています。
そこそこエネルギー投入あるなぁという感じ。
こちらは料理人の方のサイトで、理論的な説明がありつつ、試行錯誤もされています。(芋を沸騰したお湯に浸して殺菌する、といったプロセスはあまり他のサイトでは見られない話)
70℃前後で糖が増える、という話がこんな感じでシンプルにスッキリ整理されています。
・70℃前後 でんぷんが糊化する(糊化しないと分解されない)
・75℃前後 糊化したでんぷんをβアミラーゼが分解して麦芽糖(マルトース)になる
おもしろいことに「6時間低温調理したけど全然硬いままだった」みたいな実験内容が・・・これ、自分が前回やったのと同じじゃん!
とはいえその先が自分と違うところで、きちんと原因を突き止めており、常温や高温では発生しない「ペクチンの硬化」という問題が、いわゆる低温調理で発生することが示されています。
結果、ざっくりいうと
・75℃だと甘くなる
・75℃だと硬くする
という2つの効果があるということです。
甘くするのはいいけど、硬くするのはイカンわけで、、、どうしたらええねん? みたいな話が続いています。
解決策については他のサイトの情報を参考に、温度を調整するという感じの内容で、、、
この方の紹介により、その参考にされたリンク先に向かいます。
3.数学畑のホームシェフ.nickさん
こちらはかなり具体的かつ理論的かつ実践的な内容になっていて、非常に読み応えがありました。
かなり衝撃だったのが
>Anovaで72℃2)で保温した場合にはさつまいもは柔らかくならず、82℃で保温したときには柔らかくなりました
という内容で、たった10℃の違いで柔らかくなる/ならない、という差が生じるという・・・
(Anovaっていうのは電気で水温調整をして、低温&定温加熱をする機械らしい。こんな感じので、鍋に水を満たしてブッ差して使うらしい・・・が、まったく調べたことがないのでよくわからない)
そして、ここでは80℃以上で軟化するとしていますが、この80℃って前述のβアミラーゼが活動をしなくなる温度なんですよね。
つまりざっくり言って
・80℃だと柔らかくなる
・80℃だと甘くならない
ということです。
上の話と合わせると、だいたい
・70~75℃だと甘くなるが、80℃だと甘くならない
・70~75℃だと硬いままだが、80℃を超えると柔らかくなる
といった感じになると。
え、甘くしたけりゃ硬くなるのは我慢しろ、柔らかくしたけりゃ甘くないのは我慢しろってこと???
いや、それじゃ困るんですけど・・・
これが50℃と90℃とかならわかるんですが、75℃と80℃ってたった5℃やん・・・そんなんどうやって調整するん?(食材の表と中で5℃くらい違うことは当たり前にある)
さらに、問題なのが
>70℃付近の保温時間を長くすると、ペクチンの硬化によって芋全体が硬くなり、その後の加熱によって柔らかい食感を作るのが難しくなります。
とある点です。
うろ覚えだった「一度硬くなったら追加調理で柔らかくするのは難しい」という話は本当のようです。
化学変化の順番としては
・先にでんぷんを糊化してから時間をかけて分解する
・たくさん麦芽糖が作られて甘くなったら温度を上げて柔らかくする
はずなのに、
・時間をかけて糊化、分解をしているとその間にペクチンが硬化する
・硬化したペクチンは温度を上げても柔らかくならない
という、望ましくない結果が伴ってしまうわけです。
この方も
・”王道”な保温をする場合は、でんぷんの糊化、β-アミラーゼの活性に加え、ペクチンの硬化まで考慮して保温温度を管理する必要があります。難しい。。
とおっしゃっています。
自分のようなズブの素人が何の考えもなく、うすらぼんやりしたニワカ知識(75℃で云々・・・)でやってうまくいくはずなかったんや・・・
結果、後半で妥協案というものが示されていますが、考え方は
・高温加熱をしっかりやって柔らかくすることをメインにし、70℃前後の糊化&麦芽糖作りはオマケ的な目的にする
といった内容です。
実際にどうするかというと、こちらのページでは具体的に「140℃で3時間」というレシピが提示されています。
と同時に、120℃以下ではペクチン硬化や変色といった問題が生じてまるで美味しくない、という実験結果もあり、とても参考になります。
つまり
・自分の当初の実験「100℃超に加熱した石で閉じ込めて芋を保温加熱する」みたいなやり方では、仮に技術的にうまくやれて芋の内部まで温度が均一に伝わっていたとしても美味しい芋にはならないだろう
ということです。(ただの保温方式では、石の温度もじょじょに低下していくため)
うーん、甘くするのはともかく、柔らかくする方法はまったく頭になかったので別途考えないと・・・って感じですね。
4.芋の人さん
続いてはこちら。この芋の人という方の話も参考になります。
研究によれば
>最終的には160度近い高温で焼かなければ、デンプンのヒドロキシ結合を切って柔らかくすることができないため硬い焼き芋になってしまいますし、長時間焼き続けると水分が飛んで硬くなってしまい
また
>加熱された小石が放射する遠赤外線によってイモの外側は素早く均一に加熱され、250度まで上昇し、外側部分のデンプン分子が振動して、熱を発することで徐々に内部に熱が伝わり、内部の温度が65度から75度というβアミラーゼが働く温度に長く留まる
とあります。
なるほど、、、こういう理屈を聞くと、単純に
・周囲が70℃~80℃の状態に長時間おけば熱力学の法則でそのうち芋内部も70℃くらいまで上がるのでは?
という、小学生みたいな自分の発想ではうまくいくわけがない、ということがわかります(恥・・・)
なお、この方は学者(研究職?)らしく、技術的な研究はしつつも具体的なレシピの開発までは行っていないようで、実際の製造記事は見つけられませんでした。(焼き芋製作といより、芋そのものの研究がメインという印象)
こうして読んでいると、貯蔵で甘くなる理由がよくわかっていないとか、世の中にはわからないことがたくさんあるんだなぁ、ということがわかります。
5.さわけんオフィシャルブログ
つづいて、料理研究家の方のブログ。
やや難しい話が続いたところに、シンプルでわかりやすい話でホッとしました。
この方のレシピは
・200wレンジで2~3分
・130℃オーブンで30分
・180℃オーブンで30分
といった感じで、これまで見た具体例の中では一番省エネ感があります。
内容のうち気になったのはこのあたり。
熟成
>さつまいもは掘ったら1ヶ月~2ヶ月程度熟成させると加熱前の糖度が上がって甘さの底上げができます
内部への火の通し方
>直径5,5cmのさつま芋なら電子レンジ200wで3分ほど加熱すると芋の内部を70度にできます。
芋作りのイメージ
>十分に温度を上げて時間をかけて中身を煮崩すイメージで焼きましょう。
とあります。
特に200wのレンジ数分で中まで加熱される、というのは他の事例にはないおもしろい手法だなと思いました。マグネトロン万歳!!
この記事だと
>炊飯器の保温機能で70度で茹でてから焼くと言いたいところですが、今回はもっと簡単にオーブンで焼くだけにします。
とあるので、70℃に保温するという考え方、方策自体はやはり間違っているわけではないようです。
焼き芋作りって難しいね
このように、焼き芋づくりは
・75℃前後の加熱で甘くなるが、それだけで完結するものでもない
ので
・必ずしもずっと75℃前後を維持すればいいわけじゃない
ということがわかりました。
(どこも詳しく書かれていないが、どうもトロトロの蜜イモにしたければ75℃前後で長時間、ということになるようです)
しかし・・・
なんか、
・たき火の火の中にホイルで包んだ焼き芋を放り込むだけで美味しい焼き芋ができあがる(わーい♪)
というイメージではじめたのですが、実際そうなのですが、それを人工的にというか人造のもので実現していくのは骨が折れるのだなと・・・まぁ正直ちょっと疲れてきました。
前回までの反省と今後の方針
事前調査というか、「先人の・・・」と言いながらも実はあまり細かく調べておらず、今回のようなコトに至りました。
まl本来は、先行事例があればそれをまずはトレースしてやってみて、それから省エネ化などの自分のやりたい方向に修正していくのが正しい手順なのですよね。。。
とはいえ自分でやってみた(そして失敗した)経験があるから、説明を読んで腹落ちするという面もあるので、よしとしましょう。(自己正当化)
というわけで、今回のをスタート地点として、また少し試していきたい所存。
なお、貯蔵期間(追い熟期間)などを考えると、また少し時間を置いてからの再開になりそうです。
