前回まで、ガスコンロの着火用乾電池を交換した話を書いてました。
100均マンガン電池でもいいのでは?という結論になったのですが、やはりなんか気になってしまってアルカリ/マンガンがどれくらい違うのか、を調べてみました。
そもそも乾電池の寿命(容量)ってどれくらいなの?
同じ電池でも使用方法や頻度によって寿命が異なるのは感覚的にわかります。
なので、あまり厳密に比較してもしょうがないかな?って気はしているのですが、自分の感覚などアテにならないことは前回の「コンロの着火用電池なら10年持つんじゃね?」(実際は1年だった)みたいな話で証明されてしまったので、数字で見ていきたいと思います。
・・・と思ったものの、、、実は電池に容量が書いてないので比較のしようがない。メーカーサイトを見てもよくわかりません。いったいどこに載ってるのでしょうか?
・・・と思ったら、パナソニックのサイトによると、乾電池の容量はそもそもアナウンスしていないそうです。
理由はこちらにあります。
端的にいうと、
・乾電池って使い方によって取り出せる全容量がムチャクチャ違うので表示できないんだよね
ということ。
容量表示をするための標準的な使い方、みたいなのを決めてもいいのかもしれないけど、実際のところは乾電池って多種多様な使い方をされることが前提です。その際、使用者の感覚ベースではかなりギャップが生じて混乱したりクレームの元になるので公式な容量は表示しない、ということなのでしょう。
確かに思い込みと誤解が生じやすく、売る側の立場としても使う側の立場としても、あまり幸福にはなれそうにないのでこの対応はしかたないかな、と理解できます。
アルカリとマンガンの寿命特性を把握してみよう
ただ、今はザックリでも把握したいという話なので、公表されている数字から少し考えてみたいと思います。
パナソニックのサイトでは次のような情報があります。
容量ではありませんが、寿命(持続時間)が表になって載っています。
アルカリ(表の上側)はざっくりマンガン(下側)の2~3倍長持ちする、といったイメージのようです。
なお、これは残念ながら実際にコンロの着火で使った実績でもなければ、類似する(間欠使用の)例でもなく、むしろ正反対の「定電流連続放電」の事例になりますのでコンロ用として考える場合はその点を含みおく必要があります。
(ただ、コンロも昨今は電力消費の割合として制御系(Siセンサーなど)のほうが多くなっている可能性もあるので、それであれば類似例になり得るかも知れない)
極めて単純な数字の比較ですが、電池サイズごとの放電時間の割合を出すと次の通りです。
(カッコ内は自分が最も使用する単三電池を100%としたときの割合)
アルカリ乾電池
単一 130(650%)
単二 55(275%)
単三 20
単四 8.2(41%)
マンガン乾電池
単一 60(882%)
単二 26(382%)
単三 6.8
単四 2.5(37%)
こうして見ると、アルカリよりマンガンのほうが容量の違いによる寿命差は大きくなるようです。つまり、単一のような大きな電池を買うなら650%のアルカリより882%のマンガンの方が(相対的に)良いのでは?という話です。
というか、むしろ
・単三単四のような小さい電池は、マンガンだとすぐになくなってしまうのでアルカリの方が向いている
と言った方がいいのかも。
ここまで書いておいてなんですが、稼働時間ベースだとやはり把握には限界があります。推測になりますが、容量ベースで比較してみたいと思います。
ちなみに、充電池だと持続時間ではなく容量表示がありまして、ニッケル水素のエネループ白で
単一 6000mA(300%)
単二 3200mA(160%)
単三 2000mA(100%)
単四 800mA(40%)
とのこと。
これは、ニッケル水素の場合は乾電池と異なり、
・どんな使い方をしても取り出せる容量がそんなに変わらないから表示できる
ということのようです。
アルカリ/マンガンの容量は単一単二では2倍前後で価格なり・・・
推測といっても、実は上記パナソニックの表欄外に<<電池容量の概算式>>と書いてありまして
・表内の数字を掛け合わせた結果が容量(推測)となる
という話になっていますので、それをそのまま援用します。
逐一面倒なので表に入れてみるとこんな感じになります。
アルカリの場合、たとえば左上の単一20mA稼働だとトータル16,000mAとかなりの大容量が取り出せることになりますし、100mAでも13,000mAと相当な量です。
さすがは単一、デカいだけのことはある、といえます。
上で引用したエネループ白単一が6000mAだったことを考えると、その倍以上長持ちするということになります。
100mA以外はアルカリとマンガンで条件が違う(20mAと10mAなど)ので「参考値を参考情報として推測で比較する」みたいなアバウトな数字になってしまいますが、単一単二あたりを見るとざっくりアルカリ/マンガンの比率は2倍くらいになっているのがわかると思います。
100均のアルカリ/マンガンの価格差も2倍(100円で1本売りと2本売り)だったので、結論としては
・コンロの電源が単一電池であるならば、どのような使い方(電力消費)をされるにしても価格差に比例した結果だから、アルカリorマンガンはどっちでもいいのかな?
って感じですかね。
※長期間使っていると電力を取り出さなくても容量が減っていく(自然放電)という現象も起こるので、そういうのを考慮すると(コンロ用みたいに年単位の長期利用を考える場合は)自然放電が相対的に少ないアルカリがやや有利かもしれない・・・
単三単四はアルカリ、マンガンでだいぶ違う
コンロとは直接関係のない余談になりますが、ついでなので単三単四クラスもみてみるとこんな感じです。
表の右下「アルカリ/マンガンの比率」欄をみてわかるとおり、100mAでも2.94&3.28と3倍前後になっており、1000/500mAという高出力の場合は3.6倍、7.0倍とかなりの差が開いていることが分かります。
「小さいサイズで高出力」の場合は明確にアルカリ有利ということですかね。(というかマンガンが弱すぎるというべきか・・・)
そもそもサイズの小さい単三、単四で大容量を使うというのが適不適でいえば向いていないのかもしれません(ミニ四駆のような趣味の世界では求められることもありそうで、それゆえに改良の余地も多いのかもしれない・・・)
ガスコンロの消費電力はどれくらいなのか?
というわけで、パナソニックの説明通り乾電池って使い方(消費電力)によってトータルの容量がまったく違うんだよね、ということは納得いきました。
そのうちコンロで使う単一については、アルカリ/マンガンでは(どのような使い方をしても)価格差なりに2:1くらいの寿命なのでどちらを選んでも大差ないかなっていうのがとりあえずの結論です。
ここまで近似、、、というか類推ではあるものの数字でみてきたので、ついでといっては何ですが、もうひと頑張りしてコンロ側の消費電力も数字で確認しておきたいところ。
結果はこちら。
・・・載ってません。
電源の欄はDC3.0Vとしか・・・ガスの消費量は載ってるんですけどねぇ。
まぁ着火のバチバチするときの消費電力と、その後のセンサー稼働時の消費電力とでだいぶ差があるのかもしれませんが・・・
自分でメーカーサイトなどで調べた限りではこうした情報が見あたらなかったので、こういうの得意そうなAIに聞いてみた結果がこちら。
残念ながら消費電力を掲載している製品はないようです。
消費電力は家電製品ならだいたい説明書の最後のほうに載ってるわけですが、ガスコンロの場合は電気は主要エネルギー源ではないからってことなんでしょうね・・・。
前回だったか、書いたとおり電源である電池側でも情報はなさそうです・・・
こうなってくると、
・コンロの着火用に何の電池をどういうふうに使ったら長持ちしてコスパ良く使えるのか?みたいなことって裏付けをもった情報を得るとか、数字で確認していくようなことは難しそうだな~
って感じがしますね。
上のほうで、
単一については、アルカリ/マンガンでは(どのような使い方をしても)価格差なりに2:1くらいの寿命
といった相対的な評価、書き方にとどめたのはこれが理由です。
ゼニカネの観点で言えばアルカリ乾電池2本=1年で2~300円とかのレベルで、それが仮に1割削減できても20円そこらですから、こういう問題を突き詰めて考えたり調べたりする物好きな人(や省エネをPRするメーカー)はなかなかいないのかな~?ってことかもしれません。
まぁわからないものはしょうがない。
そのうちどっかでなにがしかの情報を得る機会があったらまた追記していくことにします。
単一、防災用にストックしておくのはアリ
そういや前回、「家に単一電池を使うものなんてコンロ以外にないよね~」と書いたのですが、実はありました。
防災用のライトです。
電池寿命はアルカリで18時間、マンガンで8時間とのこと。だいたい妥当な感じです。
今回交換して余った電池4個(6個セットを買ってしまったため)は、とりあえずこのライトと一緒に防災用グッズの箱にしまっておくことにします。