家探しの話の続き。今回が6回目。
最初は
・一人だけど家の中で色々やりたいので広い家に住みたい
・家の中で快適に過ごしたいけど、好きに加工するには所有するしかない
・戸建は能力的に難しいのでマンションにするが新築を買うのは無理なので中古
・マンションはとにかく暖かいのがイイ
みたいな自分の考えを書いてきました。
で、今は(今さらながら)マンションのイマイチなところを整理している段階。
今回はマンションの「目に入るのに多くの人はなぜか計算しない」という隠れたゼニカネ問題、前回の修繕積立金に引き続き管理費についてです。
こちらは前回、、、修繕積立金の話。
管理費は施設ケアのコストという認識
修繕積立金とは別に請求される管理費。純粋なランニングコストです。
以前書いたとおり管理費は「集合住宅のケア費用」なわけで、戸建の場合は不要。
自分の場合は戸建生活のコミュニティ活動になかなか対応するのが難しいので、この管理費というやつはやむを得ないコストかなと判断しています。イメージ的には水道代とか電気代と同じカテゴリ。
アパートでも共益費(通路の電気代とか・・・)という名目で必要だったりするので同じですね。
管理費はどれくらいか
賃貸アパートの共益費が月額3千円くらいなのに対して管理人常駐のマンションだと安くても1万円強くらい。(中間で、管理人や清掃人のいない自主管理の団地のようなところで4~6千円というパターンもある)
自分が住んでいるところ(120世帯くらい)は現在16千円くらいかな? かなり高い気がしますが、大手の管理会社だと強気な価格設定になってしまうらしいです。
管理費を払うことで得られる対価は、オートロックやエレベータ、宅配ボックスなどが使え、ゴミ収集スペースの管理がされていて24時間出せる、、、といった内容。
これ「自分の部屋は1Fでエレベーターなんか使わないんだからその分管理費を安くしろ」みたいなことを考える人がいそうですが、「共同で共有施設を維持管理していきましょう」という考えである以上、たぶんそういう話は通じないでしょう。
管理費は戸数割(面積割?)になるので、マンション全体の世帯数が少ないとメチャクチャ割高になるので避けたいところ。
一般にある程度の規模の経済が働く水準として100世帯くらい欲しいみたいで、120世帯くらいだとイイ感じ、80世帯だとちょっと割高感がある、みたいな感じのようです。
国土交通省のマンション総合調査と見るとこんな感じの結果になっています。
平成30年、つまり2018年に行われた調査になります。これを書いている2023年からすると5年前の記録となります。
5年サイクルのようなので、今年の秋にもまた同じ調査が行われるのかな?
総論として、管理費はだいたい平均で1万6千円くらいだよ、というのが欄外の赤下線を引いたところに書かれています。
赤い四角で囲ったやたら高額な管理費ですが、「20階建以上」はおそらく温水プールがあったりコンシェルジュなどのいる豪華マンションのせい?で、「51棟以上」の団地はサンプルが少なすぎて、歪んだ結果になっていると思われます。
これ、金額の話なのになぜか㎡あたりではなく戸あたりになっていますが・・・と思ったら㎡あたりの統計もありました。これです。
恣意的に、大多数が含まれる(≒自分の購入検討対象に入るであろう)150戸以下のマンションを赤で囲いましたが、極端な例は少なく、だいたい100円台から200円台のところに集まっていることがわかります。
ただ、、、わずかに見られる㎡あたり50円以下というのはどうなんでしょうね。70㎡で3500円以下ということなので、管理人もおらず、廊下の電気代とか最低限の負担だけをしている感じなのかな? 草が生える環境でもなく、ゴミも散らからず掃除も不要・・・みたいな話であれば、不可能ではないのかもしれません。(もしくは住民が輪番で掃除をするとか?)
反対に表の右のほうにある1000円クラスというのもすごくて、70㎡だと管理費だけで毎月7万円支払うことに。800円でも月額56千円ですから、管理費だけでもそこらの賃貸家賃並です。自分のような身には絶対に無理。
この表からはわかりませんが、これまた駅近の高額マンションでも安いマンションでもほとんど変わらないのが実態で、なんか納得がいかないって印象を受けるんですよね。
ただ、これはあくまで「印象」なので、安いマンションだからって電気代や管理人の人件費が安いわけではない、と考えれば仕方ないところ。
マンション購入費+修繕積立金+管理費での比較
再び、仮に30年住むとしてどれくらい費用がかかるか足し算をしてみます。
修繕積立金のときと同様に1000万と3000万のマンションを30年の居住コストで比べてみると・・・
修繕積立金と管理費は年間20万円x30年=600万円、両者同じ額と仮定します。
1000万円+修繕600万円+管理費600万円=2200万円
3000万円+修繕600万円+管理費600万円=4200万円
という感じで、マンション自体の価格が3倍しているのにもかかわらず、30年間の支払い総額はほぼ2倍にまで縮まります。
「差額の2千万円という絶対額が縮まるわけではない」という点には注意が必要ですが、割合でみるときにはこのようなイメージも持っておいた方がいいかなと。
アホな試算2回目
また前回に引き続きですが、同じように試算してみたのがこれです。
同じように修繕積立金と管理費をいずれも20万円/年と仮定して、上は支払総額を計算、下はそれを1年あたりで割った額。
ざっくりの試算ですが、仮に予定通り30年無事に住めたとすれば、トータルの支払額は2200~6200万円、1年ごとの負担については
・1000万円のマンションで73万円/年
・5000万円のマンションでは206万円/年
となります。(これも前回同様、各年末にマンションは大地震で崩壊して価値が0円となる、という想定です)
絶対額の多寡はあるにしても、1000万円のマンションに住むのに毎年73万円というのは意外に負担がデカいなというのが印象です。(あくまで印象です)
チラシに載っている1000万円のマンションの価格、環境、設備等と、この73万円/年という額とを比べて、どうでしょうか?
あるいは、1000万円のマンションを買ったつもりなのに、30年でマンションの額を超える1200万円を追加で支払うという点はどう感じるでしょうか?
かといって5000万円のマンションの206万円という負担額が安いかというと、そうは思えないんですよね。
これがおそらく、普通に5000万円の家を検討対象とするようなゼニカネ環境にいる人と、自分のような者との金銭感覚の違いでしょう。
前回から書いている
・高いマンションも安いマンションも修繕積立金&管理費が変わらないのは納得がいかない
みたいなモンモンとする自分個人の感覚もこのあたりから来ているんだと思います。結局のところ、こういう部分でも貧乏人は割を食う、持ってる者が有利になる、みたいなところはあるのではないかと。
(まぁ単なる妬み嫉みなのかもしれないので、そういう感情を抱いてしまうんだよねぇ~という説明だけにとどめておきます)
※前回、修繕積立金は資産投資と区分し、今回の管理費はコストと区分したわけですが、ここではサイフから出て行くゼニカネ=キャッシュアウトという観点で両者をあわせて試算しています
管理費もマンションの表示価格に上乗せして判断するとどうなるか?
前回は物件価格に修繕積立金を上乗せして考える、として
・1000万円のマンションは本当は1600万円で
・5000万円のマンションは本当は5600万円だ
といったイメージを持つべし! と書きました。
しかし、修繕積立金は払うけど管理費は拒否します!というわけにもいかないので、そこに管理費も加える必要があり、、、計算してみると
・1000万円のマンションは本当は1600万円だけど支払額は2200万円で
・5000万円のマンションは本当は5600万円だけど支払額は6200万円だ
と自覚しておいたほうがよさそうです。
コミコミの賃貸マンションであれば別ですが、このように別途管理費等がかかるマンションではトータルの支払額ではかなり上乗せされてくるんだよね、と。
不動産を所有するということは(ゼニカネという観点でいっても)なかなか大変なんだと、そういう話です。
小さなマンションの広い部屋、を選ぶと経済的しんどさがついてくる例
管理費も面積按分なので、広い部屋の住人は多く負担する感じになります。
広い部屋は売るときに売りづらいと聞いたこともありますが、要は使いもしない広い部屋を求める人がいない、ということで、それはこういうのも理由のひとつかなと思います。
たとえば手元にあるチラシの中にこんな感じの例がありまして、、、
築30年ほどで、部屋自体は床材張替などをしておりすぐに住める状態のようですが、仮にこれを買った場合の毎月の支払いを考えてみると・・・
管理費15,400円
修繕積立金23,710円
ルーフバルコニー使用料300円
の合計39,410円となり、年額にすると50万円近い額です。
ここに固定資産税の支払い(面積が大きいので高めになるはず)を加え、駅徒歩12分という微妙な立地なので仮に車を持つとすれば駐車場代が加わり、もしかしなくても毎年70万円近い支払いを続けていかなくなります(もちろんローンの支払いは別)。
さらに、それだけ負担しているにも関わらず、、、よく見ると「管理方式/巡回」とあるので管理人が常駐していないマンションということになります。
(総戸数が59戸しかないため、15,400円の負担では常駐管理人を置けない、ということだと思われる)
※この例について加えて言うと、上で「すぐに住める」と書きましたが、あたかも「アレコレ交換してキレイにリフォームした」かのようなPRをしているけどユニットバス交換、システムキッチン交換が含まれていない点は注意が必要です。というのも、リフォームのうちこの2点が圧倒的に高額で、この事例ではトイレの交換など比較的廉価にできるものばかりが実施されているからです。
安いマンションほど修繕積立金と管理費を抑える必要がある
必要がある、なんてタイトルにしましたが、、、まぁコストを気にするなら、という話です。
仮に修繕積立金が安く、管理費も安かった場合、、、ということで試しに
・修繕積立金は12,000円/月
・管理費(自主管理)は6,000円/月
と仮定して試算してみました。
この仮定は、過去に見てきた物件のパンフレットから自分の感覚でテキトウにつくってみたもので根拠はありません。(修繕は外注せざるを得ないので積立金を大幅には下げられないが、管理費は自主管理に切り替えることでこの程度の額にできる印象)
結果はこんな感じ。
年額は22万円ほど。
1000万円のマンションでも30年住んで合計負担は1648万円で済んでいます。1年あたりの負担は55万円ほど。上のほうで試算したときの73万円という額からはだいぶリーズナブルになった感じがします。
一方、元が5000万円だったマンションは30年住んで合計負担が5648万円と、上の試算6200万円からはさほど下がっていない感じがします。(実際には1000万円のマンションと同額だけ下がっているのですが割合で見ると低くなる)
月額になおした188万円も、上の206万円からすると下がってはいるもののさほどではありません。
このように比率で考えると、なんか5000万円のマンションに管理人がついてしっかりと管理を委託できるほうがお得な感じがするのですが、じゃあその5千万だか6千万だか、実際に払えるのかよ?と聞かれるとモゴモゴ・・・みたいになってしまうのがしんどいところです。
かかる費用の全体が把握できることで変わってくるもの
個々の物件の最終的な購入判断においてこうした数値を役立てよう、というのは少々疑問なところはありますが、とはいえこのように
・長期的にみるとマンションにどれくらいの費用がかかるのか
という数字が見えてくると、
・事前の数値的な条件設定(㎡数、金額等)
や
・パンフレットに表示された金額を見るときの目
も変わってきて、また別の判断基準が生じうるのではないかな、などと思っています。
今回も長くなったので、固定資産税、都市計画税については次回にでもまた。