家探しの話の続き。今回が5回目。
これまで
・一人だけど家の中で色々やりたいので広い家に住みたい
・家の中で快適に過ごしたいけど、好きに加工するには所有するしかない
・戸建は能力的に難しいのでマンションにするが新築を買うのは無理なので中古
・マンションはとにかく暖かいのがイイ
みたいな自分の考えを書いてきました。
前回に引き続き、マンションのイマイチなところをアレコレ考えて整理していきたいと思います。
前回は騒音の問題などを書きましたが、今回と次回は直接ゼニカネに関わる問題、、、修繕積立金と管理費について。
修繕積立金はマンション購入費と同じ資産投資と考えれば問題とはいえない
マンションの毎月の支払いのうち、修繕積立金は資産管理のためなので、(これまでコストと書いてきましたが)実質的には不動産資産への投資になります。つまり「マンション購入費用の後払い」として分類すべきもの。
ちなみにこれ
「戸建だと不要だからマンション固有のものだ」
と思ってる人もいるようですが、実際は戸建でも定期修繕は必要でそのためにちゃんと貯めていかないといけない準備金なんですよね。自分で計画的にためるか管理組合に計画的にためてもらうかの違い。
無理やり「投資というよりコストだ!」と認識、分類するなら、マンション固有のデメリットではなく(マンションか戸建かにかかわらず生じる)「所有のコスト」といえます。
※マンションという不動産自体を資産ではなくコストとして分類する、みたいな考え方もあるので、その場合は修繕積立金もコストになります
問題があるとすれば、、、駅近の高額なマンションも、駅遠の古くて安いマンションも修繕積立金は大して変わらないということです。(都内のタワマンなどはだいぶ違うらしいけど)
とはいえ、これを「問題!」とするのは自分個人の感情的な話なので、、、あとでもう少し詳しく書きます。
実際の数字としては月額にしてだいたい1万円から2万円の間くらい。
新築直後は営業上の理由で詐欺的な設定がされていて6千円/月とかだったりするようですが、すぐに上がってどこもそんな感じです。
手元にある不動産パンフレットからテキトウに事例をみるとこんな感じ。
あくまで一例ですが、この額でもまだ足りなくて値上げをする予定との注記があります。
とはいえ、値上げができなくて外部からの借り入れをして修繕をしているマンションもあるらしいので、上記のような「修繕積立金の値上げができるマンション」はまだマトモというか、マシなのかもしれません。(それにしても、借り入れをしたところはいつ誰が返済するのだろう?)
修繕積立金はどうやって決まっていくらくらいなのか?
これは建物の古さや構造、共有設備、全体の戸数のほか、どれくらいの頻度で修繕をしていくかという考えによってくるのでなんとも言えません。
なんだよそれ?って感じですが、本当にその通り千差万別です。
ただ、公的機関の情報として国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」というものがあるので、これが参考になるかも。
これによると、1㎡あたり178円~218円という月額が平均値として示されています。(お役所なので統計をとって平均値はだすけど、いくらが妥当なのかという責任を問われるような見解は一切出さない)
このガイドラインをベースにするなら、一般的なファミリー向け70㎡程度のマンションを買った場合は月額14千円くらい、と意識しておけばいいのかな?
直近では資材や人件費の上昇があるし、長期的にはじょじょに上がっていく可能性が高いと(自分の個人的な感覚ですが)思うので、今後もこの額で収まるとは思えないんですけどね。
ちなみにこの修繕積立金というやつ、一般的には面積按分なので、広い部屋を求めると高くなります。
修繕積立金の額は立地や建物のグレードにあまり関係ない
さきほど問題とした高いマンションでも安いマンションでも修繕積立金はさほど変わらない問題ですが・・・
具体的な数字で、たとえば1000万円のマンションを買っても3000万円のマンションを買っても修繕積立金の費用がほとんど変わらないのは、なんか感情的には納得がいかない感じがするんですよね。(もちろん、人件費やコンクリートの値段は、駅前でもへんぴな地でもほぼ変わらない、みたいなのは理屈ではわかるんだけど・・・)
試しに計算してみると、、、
・修繕積立金をざっくり年間20万円と仮定して30年住んだ場合は合計600万円
とすれば
・購入価格が3000万円のマンションだと合計3600万円
・購入価格が1000万円のマンションだと合計1600万円
となります。
・最初に買うときのマンションの価格は3倍だけど、30年の総額だと2倍ちょっとの支払い
という違いになります。
1000万円のマンションを買って1/3で済んだぞ~、1/3なんだから多少の不便や設備のボロさはしょうがないな、満足だ、と思っていたら30年トータルで見たら1/3じゃなくて1/2だったという。。。
これはどう考えればいいんだろう?
アホな試算をしてみる・・・
もう少し金額を広げ(マンション価格を5千万円まで広げ)、かつ細かく表にしてみるとこんな感じです。
うーん、上半分を見ると、、、修繕積立金を一律に設定してしまっているので最初から最後までマンション価格の差がそのまま残ります。
ついでに下半分ですが、保険などで「1日あたりたった○○円のご負担で!」みたいなPRをしている商品があるので、それにならって試しに1年あたりを出してみました。
先々の不動産相場などはわからないので、いくらで売れるか?は考慮していません。
0円としての扱い。
つまりこの1年あたりの額というのは「その年に大地震などが来て建物が倒壊、価値が0円になってしまった」みたいな想定になります(考えたくない想定ですが、世の中「まさか」は有り得るし、平和な世界が続いて0円になるという想定よりは可能性が高い・・・)
1000万円のマンションを買った場合で、10年後に大地震が来たら
「あぁ、この10年間、1年あたり120万円でこのマンションに住めたんだな・・・」
と考えながら瓦礫に埋もれて死んでいくことになります。
5000万円のマンションを買った場合で同じように10年後に大地震が来たら
「あぁ、この10年間、1年あたり520万円も払ってこのマンションに住んだのか・・・」
と嘆きながら瓦礫に埋もれて死んでいくことになります。
大地震が起きるのが30年後であれば、それぞれ53万円/年、186万円/年だった、、、となります。
うーん、、、書いてて、どっちにしろ死ぬならどうでもいいような気もしてきたな・・・
というか、どっちにしろ死ぬなら5000万のマンションで優雅に過ごした方がよくない? って気がしてきたぞ。
(とはいえ現実には「倒壊せず生き残ったものの、仕事ができなくなって収入が減りローンや積立金が払えなくなる」みたいなリスクを考えるとなかなかそっちには行けないわけですが)
バリエーションで「30年後、購入価格の半額で売却できた場合」みたいなのは容易に試算できるかと思いますので、将来はこうなる、という想定があるのならそれで試算してみるのもありかと思います。
修繕積立金はマンションの表示価格にちゃんと上乗せして判断すること
まぁこういう試算結果の額自体にはあまり意味がないとはいえ、買うときに価格を比べるなら、こういう感じで比べた方がいいんだろうな、と心にとどめておきたい感じです。
こういう感じっていうのはつまり、
・1000万円のマンションは本当は1600万円で
・5000万円のマンションは本当は5600万円だ
といったイメージです。
(もちろん上の例のとおり修繕積立金は途中で上がっていく可能性が高いので誤差は見込んでおく必要があります。特に月額1万円を切っているような物件でそのままダイレクトに計算すると誤差が大きくなる悪寒・・・)
不動産屋は絶対に(最初は)こういう説明はしてくれません。高く感じられるような情報は出さないので、固定資産税がいくらかかる、といった説明も(客が聞くまでは)基本的にしないようにしているようです。(なぜかローンの金利だけは聞いてもいないのに説明してくる)
じゃあどういう説明をするかというと、
・「賃貸の家賃」と「住宅ローンの支払月額」とだけ
を比べて
・「変わらない!」とか「安い!」といった説明
します。
おぃおぃ、あンた自分ところで作ったパンフレットに書いてある修繕積立金とか管理費は無視ですか?と最初ビビったのですが、どこの不動産屋もそうらしい。
というわけで、アホな試算とは書きましたが実際このように試算をしてみると、
広告に大きく載っているマンションの価格表示だけで
「これくらいの価格のマンションなら買っても大丈夫なのでは・・・」
とか
「こんな高いのはイヤだけどこっちなら1/3くらいの価格だから割安なのでは?」
みたいに考えるのは判断を誤らせることになりそう、というのが実感できるかと思います。
ゼニカネについていえば、サイフから出て行く額だけが真実なのです。
・・・という感じで長くなったので管理費については次回に回します。