家探しの話の続き。今回が20回目。
モゾモゾと活動はしているものの、現状まだ家を買うには至っておらず、、、
ちょうど?20回なので、ここらでひとつ活動の過程で出会った具体的な物件事例について書いておきます。
最初は一番良さげだった物件。
結果的に買い逃していますが、振り返ってみると「もしかしたらこれが最もコスパのよい物件だったかも」と思えるものでした。(・・・などと今でこそ冷静に書いていますが、買い逃した直後は正直かなり悶々としていた)
駅徒歩5分90㎡8F端南西北4LDK築20年2300万円(㎡単価26万)120世帯
タイトルの通りの中古マンションです。
後述のいろいろな事情があって、極めて珍しい「相場(㎡単価30万強)より安めの価格での売り出し」になっていた物件でした。
踏ん切りが付かずに悩んでいるうちに別の方に買われてしまったため、残念ながら諦めざるを得ませんでした。
では,ちょっと具体的な物件の話をダラダラと書いていきます。
建物全体、間取りなどは良い感じ
まず良い点からいうと、中堅どころの名の知れたデベロッパのもので、建物全体はしっかりしており、築年数も許容範囲内、部屋のサイズもじゅぶんで、フロアも8F角の南西向きということで、表示スペック的には文句なしです。
新築時の価格は4200万円ほどだったようで、マンション内ではほぼ最上位に位置づけられる部屋です。
ファミリー向け4LDK間取りのため3室が6畳間、一人で住むには壁抜きして部屋をつなげたほうがいいかな? と思いましたが、一部屋だけ8畳間があって、そこをうまく使えればリノベで間取り変更をしなくてもなんとかなるのでは?って感じの間取りでした。
というわけで、自分にとって重要な点はほぼ満たしているのですが、それ以外の点は以下の通りかなりダメダメな感じでした。
内装設備の著しい劣化
前居住者が住宅に関心が薄く、換気設備や水回りに破損、故障などがいくつもあり、室内の状況としてはかなり悪かったです。
故障設備については当人が把握していない(聞かれて確認して初めて故障がわかる、といった感じの)ものも多く、結構不安を感じる状況でした。要するに他にも隠れた(隠しているのではなく把握されていない)瑕疵があるのでは?ということですね。
現に人が住んでいるんだから最低限の設備は大丈夫でしょう、というのはあるのですがそこは引きこもりたい人とそうでない人とではだいぶ重要度が違います。
実際「瑕疵担保免責」というものが売買条件に入っていました。
などと気になりつつも、リフォーム前提であれば設備系はあまり問題ないので、むしろそのぶん値段が下がっているということであれば、自分のようなスタンスの買い主には合っている感じではあるんですよね。(逆に住宅に手間をかけず、すぐに入居してそのまま住みたい、みたいな人にはまったく向いていない)
内見時の室内の状況の悪さ
ひとさまの生活をアレコレ言えた立場ではないのですが、内見時に見たところ片付けもうまくできておらず90㎡という広さにもかかわらず「あふれるモノが散乱している」という状態でした。(ゴミ屋敷というほどヒドくはないのだけど・・・)
なので、部屋の隅の汚れとか、ソファの裏側の掃除状況とか、床に近い位置の壁紙の状態とか、内見しても(物理的に)確認できないことが多かったです。
また、売り出しておきながらまったく他所に転居する準備をしているわけでもなく、正直ちゃんと引き渡しまでいけるのかな?という不安がぬぐえませんでした。(仲介の不動産業者が「そこはウチが責任を負うので大丈夫だ」と言ってましたが)
ペットの多頭飼育
室内で猫の飼育が行われていました。
多頭といっても数匹ではあるのですが、猫というものは室内では放し飼いが基本になるとのことです(一応カーゴはある)。
キッチンの端にはペット用水飲装置などが設置されており、木部や壁紙などのキズも多数見られる状態。
自分はペットは子供の頃に文鳥を飼っていた程度で長らく縁がありません。
ここで問題になるのはペット臭でして・・・これは個人の感覚差があるのですが、自分は内見の際に多少の臭気を感じました。ただ、それも他人の生活臭といえなくもないレベルで、今から考えれば気にすべきレベルでもなかったかも? と反省しています。
このペット問題はこの物件に限らず色々あるので、また後日書きたいと思いますが、最初の物件で白黒付かない(そして個人の感覚によって結論が異なる)ややこしい問題に出会ってしまったものだな・・・というのが振り返ってみての感想です。
いかんともしがたい立地の問題
以上のような感じで色々問題はありつつも、解決の手立てはなくはないな・・・いざとなれば浮いた(安く済んだ)分のお金で問題解決を外注すればいいし、、、などと考えていたのですが、にもかかわらずなかなか踏ん切りがつきませんでした。
というのも、この物件、建物そのものはいいとしても、立地がイマイチだったんですよね・・・。
あれ?駅5分ならそこそこ立地は良いのでは?という感じですが、これ、実は
・私鉄の各駅停車駅からの距離で5分
です。
俯瞰的に広域でみると位置的には「トカイナカ」ではあるのですが、私鉄沿線の場合は東京23区のような
・どの駅も駅前には多かれ少なかれいろいろ店がある
という環境が得られるわけではないんですよね。
特にこの物件のある駅周辺は低層住宅街が密集しており、繁華街的なものがゼロ。
駅前なのに即住宅地なのです。
駅前だけどスーパーなど商業施設がない
駅前なのにロータリーもなくいきなり戸建があったり倒壊しかけた空き店舗が放置されていたりという感じで、生活施設といってもちょっと脇に逸れたあたりに飲み屋とかコンビニがある、というくらい。
逆になんでこんなところに120世帯も入る大きめのマンションを建てたんだろう?という感じがしなくもない。
どこかで見た光景だなと思っていたら、旅行で温泉地などに行くと当たり前に見られる光景なんですよね。
ちょうど、この寿湯のあった鳥取の松崎駅前みたいなイメージ。
はっきり言って、この物件の最寄り駅より、この松崎駅前のほうが空間に余裕があって開放感がある、、、っていうレベル。
自分は飲み屋もカフェもハンバーガー屋も牛丼屋も利用しないので,別になくてもいいのですが、駅近なのにドラッグストアもスーパーもないというのはなかなか厳しい感じです。(駅の反対側にコンビニがあったけど少し前に潰れたらしい)
これだと、電車の音がうるさいというデメリットに対して、駅近のメリットが半分くらいしかないな~という。
将来性のないエリアという問題点
この物件、そもそも「このエリアが不人気で(他の物件も含めて)全体的に相場が低め」という前提がありました。
周辺の不動産価格が安い理由の最たるものは、該当エリアには将来の発展性がないということでしょう。
というのも
・自治体の最外周部(隣の自治体との境界)にあたり、行政が力を入れていない
・道路や開発計画がほぼ存在しない(もしくはあっても後回しにされる)エリア
・駅前にも関わらず小さな住宅が密集しており再開発のハードルも高い
といった悪条件が揃っていました。
ご多分に漏れず自治体全体の人口も減少中で、特に民間開発があるわけでもないこのエリアを行政としても主体的、積極的に開発をして発展させていこうという考えはまったく感じられませんでした(行政の総合計画や都市計画で確認した)。
将来もこのままモソッとした状態のまま発展せず老化していくエリアなのかな~というイメージを持ちました。
もちろん行政の計画は5年とか10年単位で見直しが入るので、たとえば大手の開発業者などに目をつけられれば10年20年単位では新たな計画がネジ込まれて発展する可能性がないわけではないのですが、自分の年齢的に20年後発展していてももう意味がないんですよね。(むしろその発展のための数年間は周辺開発、工事などで生活環境が悪化する)
自分が今現在住んでいるところから距離もそう離れていないという意味では悪くないのですが、いかんせんここらのエリアの中では最も沈没している感じのエリアだと(地元住民からも周辺の不動産屋からも)認識されているのがシンドいな、と・・・
私鉄の各駅停車駅という格差の極み
少し脇道に逸れますが、私鉄沿線について。
こういう書き方をしてよいかわかりませんが、東京とその周辺の鉄道事情というか自分のイメージを書いておくと
・都内JRは多くの駅が平等に近い環境
である一方
・郊外の私鉄は「準急や急行の停車する拠点駅」と「その中間にある各駅停車駅」とで生活するうえでの利便性に厳然たる格差、上下関係がある
と言っていいかと思います。
もちろん都内JR駅だって新宿や池袋といった拠点となる駅と、たとえば池袋の隣の要町なんていう駅との間には厳然とした格差があります。
ただ、その格差というのは広域から客が来る池袋が商業地という意味で突き抜けているだけで、居住地としてどうかという観点で見るとさほど格差がありません。(むしろ池袋や新宿は人が多すぎて静かな日常生活はしづらそう)
事実、山手線には準急や快速というものがなく、各駅停車のみで成り立っています。(いや、たぶん、、、そうだよね? 一部併走している京浜東北とかは急行っぽいのがあるけど・・・)
このあたりが多少狭くても都内のほうがいい、JR沿線がいい、みたいな人たちからすると私鉄沿線が見向きもされず、価格的にもだいぶ下がってしまう理由なのかなと思います。
管理組合と修繕積立金と機械式駐車場と
駅近ということで駐車場が機械式になっていました。コストがかかって大変だとよく話題になるアレです。
直近で管理組合が数千万円かけて完全リニューアルしており、今後20年くらいは使えそうだという話になっていました。
ただ、そのおかげで修繕積立金をだいぶ消尽してしまっており、積立金の残額は1世帯あたり40万円ほどに減っていました。(滞納が多いわけではなく、管理組合の考え方で比較的低廉に抑えているためもとから少なめ)
まぁ既に使ってしまったものはしょうがないのですが、こんな田舎なのに駅が近いから(土地が確保できないから)という理由で機械式駐車場を継続するっていう判断はどうなの? という感じはしました。
冒頭に挙げたとおり世帯数は120あるので管理費等のランニングコスト的にはじゅうぶんな水準に抑えられているかと思います。
法人購入で社宅とした場合は非常に有利
細かいルールや落とし穴(社保など)は省略しますが、ざっくり
・99㎡以下のマンションを役員社宅にすると税制的に非常に有利
といえるので、社宅として購入するとどうなるかも考えました。
今回の物件は面積からすれば社宅扱いアリという感じで、ランニングコスト的にもかなりいい感じに仕上がり(?)そうです。
※99㎡以下という判定基準は共有部も含んでのものなので、廊下や管理人室などの按分面積も加味しなければならず、単純に不動産売買の表示面積が90㎡だから即OKとはならない。今回の場合は、公課証明書で課税面積を確認したところ95㎡程度でOKとなった。
買えなかった経緯
以上のような感じで、いくつか気になるところもありつつ、やはり割安さには惹かれるものがあって購入の筆頭候補として検討を続けていました。
具体的には、仲介の不動産業者と何度もやりとり(気になった点を聞く)をし、複数回内見をして、どこを修理、交換しながら住んでいくか、みたいな構想を練っていき、ほぼ購入する直前までいっていたのですが、、、最終的には価格の折り合いがつかなくて買い逃しました。
指し値(広告より安く買いたい場合に希望価格を申し入れることをそう言うらしい)をしたのは数十万円程度の値引きだったのですが、それがうまくいかなかった・・・というのが最終的な結末です。
当時は
・元々安いがこの値段まで安くなるなら経済的な満足感は得られる水準になる
・気になる点はあるが(割安に買えたという)経済的な満足感で穴埋めしよう
・あまりに室内状態が悪く、立地も悪いので多少安かろうが容易には売れないだろう
・つまりこの程度の指し値は通ると考えられる
・仲介業者の判断としてもこの程度の値引きは可能との感触を伝えてきていた
という考えや状況だったのですが、結果的には1円たりとも値引きはしない、という強気のゼロ回答となりました。(仲介業者はしきりに謝っていたが・・・謝らなくていいからイケると言っていた値引き分を御社が被れば売買成立するのでは?と言いたい気分になった)
その後、未練がありつつも踏ん切り、つまり売主の希望通りの条件(売り出し価格のまま)での取引への引き上げをすべきか、決断ができないまま放置していたところ別の方が購入されてしまいました。
踏ん切りがつかなかった理由
「踏ん切り」という表現を何度か使っていますが結局、
・すべての面で満足のいく物件にはなかなか出会えない
のだけど
・我々はみな寿命があっていつまでも出会いを待ち続けることはできない
ので、どこか一つを選ばなければならない住み家の判断においては、どこかしら妥協が生まれてくるものなのだろうな~、どこで妥協するか難しいな~というのを改めて実感しました。
(一つに決められなければ2カ所に住むという選択肢もあるのでは?と一瞬頭をよぎったけど・・さすがにそこまでやると管理の手間などのコストも含め、以前書いた「立地を諦めてウーバーイーツ的な配達に委ねる」的な生活のほうが合理的かなと)
今回の場合は
・今後、この場所で長いこと暮らしていく
ということを考えたときに
・立地的に許容範囲ギリギリな感じだった
ということが
・問題はあるが割安
・リフォーム前提の自分の条件にフィットしている
という価格面のメリットだけでは打ち破れない壁だったといえます。
「中古住宅は一期一会で、気に入ったらその場で契約する勢いで」みたいなことを言われますが、なかなか難しいものだなと。
色々調べたりリフォームの構想を練ったりと投入した時間が無駄になってしまったことが非常に残念ですが、これこそまさに勉強代だと思うしかないのかなと。
そんなことを実感した1軒目の物件でした。
というわけで、今回の経験を活かせるよう心にとどめ、次の物件にいくことにします。