ふれふり!

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引きこもりたいソロもんが家探しをする(その19 ウレタン断熱材の寿命について考える)

 

国土交通省サイトより

家探しの話の続き。今回が19回目です。

 

以前、マンションのいいところ?みたいな話で断熱材について触れました。

(これを書いている今は灼熱地獄の7月なので「断熱材? ハァ? アタマわいてんの?」って感じかもしれませんが、、、寒い冬はまたやってきます)

 

 

発砲ウレタンを充填して断熱する

木造住宅ではグラスウールなどが使われているようですが、昨今の分譲マンションでは壁の裏に発泡ウレタンを吹き付ける作業をして断熱することが一般的なんだそうです。

 

コンクリートのクタイは100年持つなどと言われていますが、中古を買うとなるとこのウレタン断熱材の経年劣化も気にする必要がありそうだよね、ということも書いたように思います。

 

リノベ先輩がどっかで「30年くらいで(断熱材も)吹き替えをしたほうがいい」みたいなことを書かれていたのを見た記憶があるのですが(どこかで情報を仕入れたのかな?)、ほかにあまり情報もなくて、実際どうなのかというのは確かめるすべがない状態です。

 

なにしろ現実には壁を剥がして内部の断熱材の状態を見るというのは難しいからです。

というわけで、とりあえず手元にある

・単品のウレタン系素材が経年でどうなっているのか

を確認する機会があったのでメモ。

 

 

ゼトロ吸音シートを事例として考えてみる

ウレタン系のシート状防音材として小売されている商品のなかにゼトロ吸音シートというものがあります。こちら。

 

結構いい値段します。

製品としてのゼトロ吸音シートは新幹線などにも使われているとあるとおり結構コストのかかる高級部材のようで、個人向けとしてはコスト感覚が(一般人と)だいぶ違うカーマニアとかオーディオマニアといった「趣味に生きる人々」に訴求しての販売をしているようです。

なので、店頭での販売ルートとしては東急ハンズとか、そんな感じ。

ゼトロのパッケージ(モデル違い)

うちでは20年くらい前だったと思いますが、プロジェクターの防音ボックスを制作した際に吸音・防音シートとして採用して使っていました。

 

それで20年ほど屋内で使用したシートがこちらです。

20年ほど屋内使用で表面が白くなった

見た目、白色化しており表面の不織布がダメージを受けている感はあります。(購入したときは上のAmazonの写真のようにもっと黒かった)

ところどころに丸い穴のようなモノが見えるのは画鋲の跡で、製品裏面にある接着テープは使わずに画鋲で木材に固定して使っていました。

 

このときに買ったものを横から見ると・・・

横から見るとそんなでもない

このように、横から見た状態だと気泡が破損するでもなく、一応形状は保っている印象を受けます。

 

ただし、このシートを曲げてみると・・・

表面のヒビ割れは見られる

このように、明らかに劣化による割れが生じていることがわかります。

 

このヒビ割れはそこそこ重傷で、下の写真のようにまっすぐに戻しても割れたヒビについてはもとに戻らず隙間が空いたままになってしまっています。

まっすぐに戻しても・・・開いた割れは塞がらない

ウレタンの特性に詳しいわけではないので超テキトーなのですが

・屋内で

・木材に囲まれていて通風状態は良かったものの

・プロジェクターの高熱にさらされていた状態が20年ほど続く

と、発泡ウレタンには割れが生じる、と考えてよさそうです。

 

マンション壁内のウレタンも劣化すると考えてよさそう

仮にこれがマンションの壁内にあったとして、固定された状態ならこのように曲げ伸ばしされることはなく、大きな隙間が空くことはないと考えることもできます。

ただ、そうはいっても大きな割れの原因となる小さな隙間は空いている状態になっていると思うので、

・ウレタンも20年くらいたつと劣化するんだろうな

という認識をもっておいたほうがいいかなと。

 

ただし、この段階ではまだ

・「劣化したプラスチックのように手で触ってボロボロと崩れる」といったことはない

ため、防音、断熱といった機能・役割そのものはまだ果たせているのではないか、と思います。

 

発泡ウレタンの安全性や難燃性の問題

実はゼトロで使用されているゴムは、ウレタンではなくエチレンプロピレンゴム(EPDM)というものらしいです。

ゼトロはウレタンよりも優れているEPDMらしい

なので、住宅の断熱材で使用されている発泡ウレタン吹付とはまたちょっと違うのかな?と思って調べていたところ、、、どうやらだいぶ違うのでは?ということがわかりました。

 

EPDMとウレタンゴムの性質の違いはこんな感じ。

ゴム助サイトによるゴムごとの性質の違い(耐熱性がだいぶ違う)

結構この耐熱性の低さというのはショックですね。ウレタンが強い機械的強度や耐油性は断熱材にはまったく要らなそうで、そう考えると圧倒的にEPDMのほうが優れています。

発泡EPDMみたいな施工はできないんだろうか・・・

 

このほかに、化学物質としての安全性に問題があるのでは? とかリサイクルという観点からは良くないのでは?という意見もみられました。

 

たとえば窓のサッシに関して「西洋ではアルミなんて使っていない、ほとんど樹脂だ。日本は遅れている」という話をよく聞く割に「西洋ではウレタン充填が主流で、発泡ウレタンで断熱しない家なんて今はもうない」みたいな話は聞きません。

樹脂サッシが正しいとすれば、ウレタンを使わないというのが正しいのか?と。

 

こうした断熱材でエネルギー消費が抑えられるなら、

・健康被害や火災のリスクを負って断熱のメリットとエネルギー効率の向上が得られるのだからヨシとすべきでは?

という感じがしますが、ウレタン断熱単体で見ると諸手を挙げて歓迎できるようなものでもないということなのかなと。

 

あと、

・ウレタンは難燃性が謳われているけど不燃じゃないし準不燃でもない

・難燃は字に反してよく燃えると認識した方が良い

・つまりあまり健康的ではない素材で燃えやすいということは結構ヤバめの素材と認識したほうがいい

みたいな話も見かけました。

 

何でもかんでもヤバいと言っていると何も使えなくなってしまうので

・発泡ウレタンは何でも解決する夢のような素材ではなくてリスクもある

という認識をもったうえで採否を決めていくのかな、と。