2022年8月にSONYの新型プロジェクター(PJ)が発売されたものの、下位モデルXW5000でズームやフォーカスの調整が手動になっていることを問題とする話をソコココで見かけるので、簡単な対策を書いておきます。
解せないとあるけど、これは「削れるところを全部削って、当社の価値である部分(SXRD)を低価格で提供する」というスタンスなだけでは・・・って気がします。
感情的に受け入れがたい「以前は低価格機種でも対応していたのに・・・」という点ですが、長らく物価が上がってこなかった弊害なのかも。昔の機種は当時の技術で作られた昔の機種、ということをなかなかスッと受け入れられない我々がいるわけです。
あとは大型液晶の登場によってプロジェクターでのホームシアターというのも、アナログレコードと同じように一部の限られた人たちだけのマイナーな趣味になりつつあって、市場の縮小とともに低価格帯の商品は淘汰されていくのではないかというイヤな感じもしますが・・・
というわけで、手動のフォーカス調整の方法について、2案ほど(同じ考え方なので似たような方法になりますが)。
1.USBカメラで撮影しながら調整する
結論から書くと、
・スクリーンにクロスハッチなどを投影する
・スクリーンをカメラで拡大撮影する
・そのカメラの画像を手元のモニタに表示させて確認しながらPJを手で調整する
という手順になります。
こんな感じ。
カメラは事前セットになってしまうので、
・位置や範囲が固定される
・安いカメラにはオートフォーカスがないので事前に調整しておく
・カメラ自体の影にならないよう撮影する位置、場所に気をつける
といった注意点があります。
機材ですが、自分の場合はWindowsPCとそれ用のデジタルマイクロスコープ(USB接続)を利用しました。
カメラ自体の設置位置やフォーカスを事前調整している図。
高級品ではありませんが、一応マイクロスコープなので生地の凹凸くらいは普通に見えます。
フォーカス調整に必要なレベルを超えて拡大されるのでかなり局所的にしか表示されませんが、なんとかなります。
マイクロスコープのキャプチャ機能で取り込んだ画像はこんな感じ。
この作業でのキモはUSBの延長ケーブルを使うことで、5m程度であればまったく問題なく画像を手元で確認することができます。
USB延長ケーブルは汎用品で比較的廉価なので、カメラとあわせても1万円しないで買えるのでは?という感じ。
Windows用のUSBカメラは多種多様なものが売られていますが、今回のような用途であれば安いものでも十分と思います。(テレワークとかで使われるWebカメラでも接近撮影ができれば代用できるかもしれない)
今回使ったのはこれ。
プラスチックの下敷きみたいなスタンドとか台がついています。
ついてなくてもスマホのスタンドだとか、大型クリップや洗濯ばさみなど身の回りにあるものでスタンドの代替はローコストでいくらでもやりようがあります。
コレは今回の目的のために買ったわけではないので少しお高いですが、これでも1万円しないレベルです。
一つ注意点としては、あんまりにも安いものだと手動ですらフォーカスの調整ができない(というか対象物との距離だけで調整する)タイプがあるかもしれないので、そこは確認しておいたほうがいいかも。
2.スマホで撮影しながら調整する
実際にやったことはないのですが、最近のスマホにはMHLやHDMIといったケーブルを経由して画面を外部出力する機能があるので、同じように
「スクリーンをスマホのカメラで撮影し、プロジェクター近くに置いたモニタで確認」
しながら調整することも可能です。
スマホのカメラはオートで画質調整する機能が強力なので、色合いとかはかなりズレ(加工)を感じますが、フォーカス調整に使うくらいなら問題なさそうです。
思いつく注意点はこんな感じ。
・外部出力のできるスマホが限られている(らしい)
・スマホがスリープモードに入らないように事前に設定しておく必要があるかも
・暗いスクリーンの撮影でオートフォーカスが妙な挙動をしないか確認が必要
スマホの場合も、カメラの画質、性能が良くなってきているのはもちろんですが、それ以上に画像を外部に出せるようになってきたのが大きいです。こちらも昔ならできませんでした。(昔のスマホには画面をわざわざ別のモニタに外部出力するという考えがなかった)
注意点としては、HDMIはUSBとデータの転送方式が違っているため、あまり長尺のチープなケーブルにすると画像が乱れることがあるかも、、、という点です。
こちらの場合は、長尺HDMIケーブルとスマホ側の端子(USB3とかMicroUSBとか)をHDMIに変換するアダプタ(MHLケーブルとか、Appleなら専用変換ケーブル?)をセットで入手する必要がありますが、数千円というレベルです。
長尺のHDMIケーブルは、プロジェクター投影時に使うものがあればそれを外して使ってもよいかと思います。
なんにしても、自分の使用するスマホがちゃんと外部に映像出力できるものかどうかは確認しておいたほうがいいかと思います。
最近の機種だからといって全部が出力できるわけでもないみたいです。
・・・などと書いていて、あれ? 逆にスマホをPCのかわりにして、USBケーブルで伸ばした先にカメラをつければわざわざ外部モニタなんて用意しなくてもいいんじゃね? と思ったのですが、どうでしょう?
調べてみると、上で使ったようなマイクロスコープであればスマホに対応していることもありますし、このように一般のWebカメラも(アンドロイド側は)対応しているようです。
ただ、実際のWebカメラ商品各種を見ると、スマホ対応が公に謳われているものは少ないようです。(謳われていなくても使えることはよくある)
これは対応してるみたいですが結構いいお値段。
配信だとか動画作成のためにスマホ本体から離れた位置にカメラを置きたい、というニーズはあるようなので、今後は増えてくるのではないかと思われます。
3.応用で四隅の同時調整が容易
何をどう何カ所調整するかは個人の好みかとは思うけど、2カ所確認したければカメラを2台、4カ所確認したければ4台用意すれば、同時に確認が可能です。
カメラやスマホの固定は三脚に乗せるなり、何カ所も同時に撮影する場合は突っ張り棒を使うとか、以前書いたラブリコのようなもので仮設柱を立ててそこに固定すれば良いかと思います。
カメラの固定が面倒であれば、(調整作業は短時間なので)養生テープのようなもので仮止めするだけでも大丈夫かと。
複数のウィンドウを画面内に好きに配置できるPCと異なり、スマホの場合で複数箇所の同時確認するには、モニタ側に「4入力を受け入れて画面を4分割して同時に表示できる」といった機能(PiP)があるといいかも。
こういう感じのやつ。
さすがに4分割できるのは少し大きなサイズのモニタになるようですが。(2分割くらいなら小さいサイズのでもある)
モニタ側にそのような機能がない場合は諦めるしかないと思っていましたが、調べたら間に挟んで1つのモニタに4つ同時に映す4in1的な機能をもった商品もあるんですね。
というわけで、仮にこのような方法をとれば、スクリーンの4隅を手元のモニターで一度に(同時に)確認しながら調整する、といったことが可能になります。
これって電動のレンズで
「スクリーンに近づいて(その一カ所を)肉眼で見ながらリモコン操作でレンズを動かす」
「別の場所に近づいてまた同じ調整する」(最初に合わせた位置のフォーカスがズレることがままある)
「うまく合わなければ(本体付近に戻ってきて)本体の位置や角度を微調整する」
みたいなことを繰り返すより、ちゃんと調整ができるんじゃね?
って感じがします。
レンズ調整が手動だからと避ける必要はないのでは
「レンズ調整が手動だと調整のときに誰かに手伝ってもらわなくては」みたいな話を聞くと、ベテランのソロもんとしては何言ってんだコイツ?みたいに思ってしまうんですよね。(ただのひがみです・・・)
もちろん、手動だと遊びが大きくて何かの拍子にズレやすいという問題はあるし、SONYの場合は以前から熱を持つと再調整が必要なくらいズレるという話も聞くのでこれで万事解決というわけではないのですが、少なくとも「レンズ調整が電動でなく手動だからフォーカス調整作業が大変だ」というのは今の時代にはもう解消されているのでは、と思います。
(その昔、レンズの外周部にモーターで電動操作できる機構を後付けすることを考えたこともあるけど、このほうが簡素で確実と判断)
XW5000は残念ながら買うに至らず
ここのところSONY銀行に口座を作ったりわざわざこんな記事を書いたりしているわけですが、今のところXW5000も7000も買っていません。
ただ、現物を見には行ってきました。大都会銀座・・・
こんな抽選会をやっていたので参加したりしつつ・・・
ちゃんと視聴会を予約してしっかり見てきました。
映し出されたものを見ていると確かにパネルや演算回路といった半導体の良さを感じさせる映像ではあったのですが、スクリーン上で色の濁りが気になったんですよね。
スクリーンに近づくと、白い線から赤と青が盛大にはみ出していました。
撮影はしてきませんでしたが、確かに現物はこんな感じのもっとひどい状態。
レンズの性能がイマイチなのかな?
製造上の当たり外れはあるにしても、自社の展示場でハズレ個体は使わないだろうし、発売からそこそこ時間がたった時期の自社展示場でパネルアライメントなどの調整がされていないということも考えづらい。
その前提でこれということは・・・当たり外れ以前に製造クオリティ的にこれだということかなと。(結構いい値段するんですけどね・・・)
こういう色ズレが、ここからさらに調整することで改善するものなのか、これ以上は調整ができないものなのか、確信が持てなかったので今回はそのまま帰ってきました。
ロクに調整がされていなかったとすれば、単に展示場のスタッフがやる気ナシだっただけかもしれないけど・・・それはそれでヒドい扱い。