引き続き、こんな機会でもないと興味もわかなければ知ろうともしないであろう「社会保険料」について、みていきます。
我々が保険証代だと思って払った金額には介護保険料も含まれている
これまで、退職前後の保険料や現役時代の保険料について調べてきましたが、ここまで無視してきたものがあります。
それは40歳以上の人が納める介護保険料です。
39歳以下の人はありません。0円です。が、40歳になったときから健康保険の料金と一緒に徴収されます。
ここでは40歳以上、介護保険料もあわせて徴収されるという前提で内訳をみていきます。
協会けんぽで内訳を見る
自分のところの資料は一般に公開されていないし、標準から乖離している可能性があるので、ここでは誰でも確認でき、かつ標準値である「協会けんぽ」の資料を見ます。
協会けんぽの公開している保険料額一覧(サイト上にPDFあり)を見ると、欄外に次のような説明書きがあります。
青いアンダーラインを引いたところです。
まず一つ目。
◆介護保険第2号被保険者は、40歳から64歳までの方であり、健康保険料率(9.87%)に介護保険料率(1.79%)が加わります。
なるほど。合計が11.66%だけど、その内訳は健康保険:介護=8:2くらいの割合ですね。
介護保険制度がなかった時代は8で済んでいたのが+2されて10になったと考えると、その時点で25%値上げかよ、という感じではあるのですが、いずれお世話になることになるので、40歳以上の人が介護保険料払うのもやむなしでしょう。
ところで、問題は次です。
◆健康保険料率のうち、6.44%は加入者の皆さまのための給付等に充てられる基本保険料率となり、3.43%は後期高齢者医療制度への支援金等に充てられる特定保険料率となります。
は?
9.87%のうち3.43%って1/3以上じゃない。
1.79%の介護保険料にこの支援金を加えると、高齢者に回る分が実は5.22%(3.43%+1.79%)もあるの?
全体の保険料率が11.66%となっているけど、そのうち5.22%って、割り返すと44.7%にもなる。
うーん、5割・・・にはならないけど、それに近い。ほぼ半分だよねぇ。
つまり、現役世代が自分の保険証代だと思って支払った保険料のうち、半分近くは高齢者の医療や介護に回っているということでしょうか。
現役世代が後期高齢者を支えているが、どこまで支えるべきなのか?
こうなってくるともう、単に保険証代、つまり我々の医療費として負担しているのだ、とはいえないですね。
高齢者のための費用も負担しているのだと、払っているのだと。ちゃんと、そう理解したほうがいいように思います。
となると、税金と何が違うの?って感じですが、2010年頃に後期高齢者という保険区分を設けたことで、明朗会計になった、計画が立てやすくなった、といったメリットがあるんでしょうかね?
(そもそも、上で「我々の医療費」などと書いたけど、その「我々」に後期高齢者も含めれば支え合っているともいえるし、「我々」に後期高齢者を含まなければ一方的に支援していることになる。一般の人はこうした高齢者医療に対する大きな支援が行われていることをよく認識して納得しているのか? って疑問が生じますが、自分の経験ではそういう意識はなかったなぁという感じです。)
老保から後期高齢へ移行しても、高齢者が増えすぎて現役世代の負担が爆増?
というわけで、現役世代の社会保険料は、その5割近くが高齢者の保険にあてがわれており、高齢者を支えていることがわかりました。
なるほどねぇ。
自分も会社の同僚も、こんなに医療費使ってないし医者にもかかってないよなぁ~、といっても始まらないわけです。
よく言われる「将来は現役世代2人で、いや1人で一人の高齢者を支えなければならない」といった話にリアリティを感じられる数字です。
(というか、自分の保険証代として必要な額の倍近い保険料を払っているということは、すでに一人の現役世代が一人の高齢者世代を支えている状態なのでは?って気もするが、まだ人数割合として現役世代のほうが多いので1:3くらいなのかな?)
これから高齢者になっていく自分からすると「ずっと、もっと、支えて!」という感じですが、保険料を払う立場からすれば「もう少し自分たち(後期高齢者どうし)でどうにかしてよ」ということになります。人間というのは勝手なものだなと思います。
それにしても、上で計算した44.7%って割合、四捨五入して5割にならないように(つまり45%になって「(四捨五入して)5割が高齢者に!」などと言われないように)狡猾に仕組まれ、作られた数字のような気すらする。