ふれふり!

素隠居してお菓子。そして興味がないことは無駄なく。

市町村による居住コストの差を調べる(その2の2 七ヶ浜町 国保)

 

上下水道、国保について自治体毎の違いを調べてみよう、という話の具体例。

毎度のコトながらなかなか水質の差や国保のサービスの違いまでは踏み込めないので、料金だけの比較になります。

2020free.com

 

前回に引き続き宮城県七ヶ浜町で、今回は国民健康保険(国保)です。

2020free.com

 

七ヶ浜町の国民健康保険料ルール

七ヶ浜町の公式サイトはなんというか、、、シンプルというか、今を生きる感じというか、土台となる制度の説明や過去の蓄積された情報にすぐにアクセスできるようにできていないようです。

国保の説明についても同様に、国保の制度や料金について説明するページを探していくとか、担当部署をたどっていくということができず、「七ヶ浜町民便利帳 毎日の暮らしに役立つ情報集」というQ&Aみたいなページから探していくことになりました。

「平等割額」とあるのは世帯割のこと

料金を調べるだけで条例を見るハメになった夕張市よりはマシなので、順番に見て計算していきます。

なお、七ヶ浜町では国保は保険「料」ではなく保険「税」になっていて、法的な扱いは違うようですが、書き分けもややこしいので以下、区別せず保険料として記載していきます。

 

上のページをスクロールしていくと、どのような計算で算出するのかという数字が見て取れます。

2022.09にキャプチャしたものです

このサイト、時間の概念がない(今を生きる、いやむしろ今しか生きていない)ので本当にこれが2022年のものなのか、本当は2020年頃に作ったページの残骸で更新されていないのか、まるでわからないようになっています(どこにも明確に記載が無い)

逆にいうと、これが2022年のものだったとして前の年はどうだったのか、10年前は? 近年上がっているのか下がっているのか?といった情報は確認できないということになります。

 

とまぁ、そういう感じの愚痴はともかくとして、七ヶ浜町の今を生きる姿勢を信じてこれは2022年の算定額だという前提で計算をしてみます。

結果は次の通りです。

七ヶ浜町国保(資産割は設定がない)

減免なしで7万円台なかば、7割減免で23千円という感じ。

これどうなの?と言われてもイマイチわからないので、比較のために前回の夕張を再掲しておきます。

夕張国保(資産割は設定がない)

比べると、七ヶ浜町では夕張市よりだいぶ高い状態ですね。

内訳を見ていくと、所得割は9.25%と夕張よりも微妙に低いですが、そのぶん均等割がだいぶ高くなっています。その結果、この例のように所得の低い人の負担は夕張市より多くなる傾向がありそうです。(7割減免が入ればそこまで大きな差ではないけど)

 

なお、減免については上の画像の最下端に「低所得者世帯等については、税額軽減の制度があります」とありますが、そこにリンクはありませんし、公式サイトで検索をかけても見つけられませんでした。

が、どこの市町村でもこんな感じの7割減免だと思うので、その推定で試算しています。

 

減額と減免

減免については上のとおりよくある「7割減免」だろうという推測で試算してみましたが、よく考えたら仮にまったく適用がなかったらかなりの額の差になるのでやはり気になり、念のため元の規定を確認してみました。

 

保険料に関する七ヶ浜町の条例は次のような構成になっていました。

 

まず元になる条例と料金の規定がこれ。

○七ケ浜町国民健康保険条例

(略)

第6章 国民健康保険税

第12条 この町は世帯主に対して、別に定めるところにより、国民健康保険税を課する。

(略)

 

この「別に定めるところ」というのを受けて

○七ケ浜町国民健康保険税条例

というものがあり、ここで誰にいくらどのように保険料を賦課するかを決めています。なるほど。

 

読む必要はまったくありませんが、この国保税条例のうち料金の減額部分について冒頭部分をそのまま引用します。


(国民健康保険税の減額)

第23条 次の各号の1に掲げる国民健康保険税の納税義務者に対して課する国民健康保険税の額は、第2条第2項本文の基礎課税額からイ及びロに掲げる額を減額して得た額(当該減額して得た額が650,000円を超える場合には、650,000円)、同条第3項本文の後期高齢者支援金等課税額からハ及びニに掲げる額を減額して得た額(当該減額して得た額が200,000円を超える場合には、200,000円)並びに同条第4項本文の介護納付金課税額からホ及びヘに掲げる額を減額して得た額(当該減額して得た額が170,000円を超える場合には、170,000円)の合算額とする。

(1) 法第703条の5第1項に規定する総所得金額及び山林所得金額の合算額が、430,000円(納税義務者並びにその世帯に属する国民健康保険の被保険者及び特定同一世帯所属者のうち給与所得を有する者(前年中に法第703条の5第1項に規定する総所得金額に係る所得税法(昭和40年法律第33号)第28条第1項に規定する給与所得について同条第3項に規定する給与所得控除額の控除を受けた者(同条第1項に規定する給与等の収入金額が550,000円を超える者に限る。)をいう。以下この号において同じ。)の数及び公的年金等に係る所得を有する者(前年中に法第703条の5第1項に規定する総所得金額に係る所得税法第35条第3項に規定する公的年金等に係る所得について同条第4項に規定する公的年金等控除額の控除を受けた者(年齢65歳未満の者にあっては当該公的年金等の収入金額が600,000円を超える者に限り、年齢65歳以上の者にあっては当該公的年金等の収入金額が1,100,000円を超える者に限る。)をいい、給与所得を有する者を除く。)の数の合計数(以下この条において「給与所得者等の数」という。)が2以上の場合にあっては、430,000円に当該給与所得者等の数から1を減じた数に100,000円を乗じて得た金額を加算した金額)を超えない世帯に係る納税義務者

イ 国民健康保険の被保険者に係る基礎課税額の被保険者均等割額 被保険者(第1条第2項に規定する世帯主を除く。)1人について16,940円

ロ 国民健康保険の被保険者に係る基礎課税額の世帯別平等割額 次に掲げる世帯の区分に応じ、それぞれに定める額

(イ) 特定世帯及び特定継続世帯以外の世帯 13,440円

(ロ) 特定世帯 6,720円

(ハ) 特定継続世帯 10,080円

 

ここで赤字にした16,940円というのが、一般分(医療分)の均等割の割引額です(2行目の下線部に「イ及びロに掲げる額を減額して」とある)

すこし上で記載したとおり一般分均等割24,200円なので、それに対する16,940円というのは7割に相当します。

つまり7割が減額されるということです。やはり七ヶ浜町でもいわゆる7割減免が適用されているということがわかります。

(同じように、青字の13,440円は世帯割19,200円に対する7割の額です)

 

ちなみに減免減免!7割減免!と馬鹿の一つ覚えのように書いていますが(だいじなコトなので・・・)、上の条例をよく読むとわかるとおりいわゆる7割減免は正確には「減額」であり、それとは別に本当の「減免」というのも存在しています。

 

○七ケ浜町国民健康保険条例

には上の第12条の他に

(国民健康保険税の減免)

第26条 町長は、次の各号の1に該当する者のうち町長において必要があると認めるものに対し、国民健康保険税を減免する。

(1) 貧困により公私の扶助を受けるもの

(2) 災害時により生活が著しく困難となったもの又はこれに準ずると認められる者

~(以下略)

というものがあり、具体的にどういう場合に何割減免するといった扱いについて

○七ケ浜町国民健康保険税減免取扱規則

というものが定められています。

(生活扶助やら被災、事業の廃業やら・・・省略します)

 

 

国保の料金は微増レベルで、仮に七ヶ浜町に引っ越しても影響は少ない

初回に書いたとおり自分の現状の国保料金は7割減免を適用されて15千円ほどなので、七ヶ浜町に引っ越すと同じ条件で23千円と8千円/年ほどの負担増になります。

割合からすれば1.5倍なのでかなりのUP率ですが、1年に8千円というだけであればさほどの負担感はないかもしれません。

(ただし、7割減免が0になった場合は76千円になるのでかなりの負担感はあります)

 

直近の改定日と今後の見通し

前述の通りの「今を生きる」サイト構成のため七ヶ浜の料率変更がいつ行われたのか、増加傾向にあるのか減額傾向にあるのか、といったことは確認できませんでした。(調べる気にもなれなかった・・・)

 

参考までに夕張市同様、将来の見通しの代替として、宮城県が公表している標準保険料率の表を載せておきます。

 

北海道のときと同様ですが、これは宮城県内の自治体に

「統一した条件で保険料負担をしてもらうとすれば○○市ではこうなるハズ」

みたいな率や額を理論値として算出して示している、という表です。(よくある、実際の率や額をまとめた集計表ではない点に注意)

 

北海道では内訳が出ていませんでしたが、宮城県では内訳まで表に載っているため、それを元に試算してみるとこんな感じ。

七ヶ浜町 標準保険料率の場合

非課税で7割減免が受けられる場合は年間負担額は23千円から25千円と2千円程度の増で済み、減免前だと76千円から85千円と+1万円弱となります。

あまり将来的な料金のアップは恐れなくていいようです。(逆に、既に高くなっているとも言えるが・・・)

 

ちなみに再掲になりますが、前回の夕張市はこんな感じでした。

夕張市 標準保険料率の場合

都道府県は違うといえど、理論値の保険料自体は85千円前後と、似たような額に落ち着く結果になっています。

これは言い方、見方の違いですが、七ヶ浜町は現時点で既に保険料の平均値(理論値)に近い状態になっており、夕張市はかなりディスカウントされている、といえるかもしれません。

 

七ヶ浜町の総評

居住地の選択は保険や水道の料金だけで決定するようなものではありませんが、今回見た居住コストの比較だけでいえば

現状

 上下水道26千円+国保15千円=41千円

七ヶ浜町に引っ越したら 

 上下水道37千円+国保23千円=60千円

というかたちになり+19千円、1.5倍の負担が必要になってきます。月額1600円くらいの差ですね。うーん、どうなんだろう。生活コストを切り詰めて暮らしていくことを考えると結構大きな額ですが、賃貸で毎月支払う家賃に比べたら些末な額といえるかもしれません。

 

参考までに前回の夕張市は

 上下水道67千円+国保17千円=84千円

だったので、両者の比較だと上下水道はだいぶ安く、国保はやや高い水準で、ちょうど自分の住んでいるところと夕張市の中間くらいになります。

まだ2自治体しか見てませんが、もしかしたらこの七ヶ浜町くらいの水準が全国的に平均的な金額なのかも・・・と思ったりしました。