上下水道、国保について自治体毎の違いを調べてみよう、という話の具体例。
引き続き北海道の夕張市で、前回は上下水道でしたが今回は国民健康保険(国保)です。
夕張市の国民健康保険料ルール
どういうわけか、夕張の国保の料金表はサイト上で見つけられませんでした。ググっても公式のものが出てこないし、、、掲載場所が違うのかと思って税金の一覧も確認してみたのですが、そちらにも見あたらず。
異様に高いから見せたくなくて隠している、、、というわけではないと思うのですが、人手不足で説明ページまでは作れない状況なのでしょうかね。(手続きに関するページは存在した)
しかたないので条例を見てみます。
R04.04.01(2022.04.01)施行となっているので条文そのものはこれで間違いないと思うのですが、全文を読んだわけではないので適用除外などがあった場合は違う内容になるかもしれません。
とりあえず赤で囲ったところから数字を引っ張って試算してみます。
上記の通り、所得割は10%弱の率でやや低めの印象。
通常の所得ゼロでは均等割と世帯割のみで合計57千円ほどで、7割減免の適用を受けられた場合は17千円ほどになります。
最初なので上の表を説明しておくと、国保料金は
4つの計算基礎(所得割、資産割、均等割、世帯割)
と
3つの使途(一般=基礎賦課、後期支援分、介護保険分)
という12のマトリクスで算出される面倒な仕組みになっています。
※ざっと見た感じですが計算基礎のうち資産割は適用設定のない自治体が多く、夕張もそのグループです。世帯割(世帯平等割)の設定がない自治体もありますが夕張はアリ。その両方がない自治体の場合は所得割と均等割だけで計算され、その分所得割の率や均等割の額が高く設定される感じ。ただ、それもバランスの問題なので、世帯割がない分が全部均等割に振り分けられる、みたいな話でもないと思われ、一人暮らしの無資産低所得者は
・所得割の率が高く(所得がなければいくら率が高くても0)
・資産割の率が高く(資産がなければいくら率が高くても0)
・均等割が少なく(主に負担するのはコレなので少ない方が良い)
・世帯割がない(一人でも大家族でも同額ということは、一人暮らしには不利な項目なので)
みたいな自治体だと負担が少なそう。
使途についてはどこの自治体でも同項目ですが、介護は介護保険料を一緒に徴収しているだけなので、40歳未満の場合は徴収されない(0になる)はずです。
国保の料金は微増レベルで、仮に夕張市に引っ越しても影響は少ない
初回に書いたとおり自分の現状の国保料金は7割減免を適用されて15千円ほどなので、夕張市に引っ越しをしても年額で2千円程度の増で済み、ほぼ同じといっていいでしょう。
冒頭に書いた高齢化率を考えると、後期支援分などがもっと高額になるかな?とイメージしていたので、ちょっと拍子抜けな感じがします。(まぁ高齢者に対する仕送りの割合と考えれば十分デカいのと、後期高齢者は65歳ではなく75歳以上なのでもしかしたら夕張市は75歳以上の割合はそんなに高くないのかもしれない。未確認だけど)
直近の改定日と今後の見通し
国保料金は水道料金と異なり、比較的ひんぱんに改定されているようです。
ただし改正内容は税法の改正に伴う扱いの調整が多く、直接的な料率変更がひんぱんに行われているわけではないようで、夕張の料率変更がいつ行われたのかまでは確認できませんでした。
かわりに将来の見通し、、、というわけではありませんが、北海道保健福祉部健康安全局国保医療課が公表している標準保険料率の表を載せておきます。
コレも初回なので少し説明しておくと、前提条件を書いた段階で多少触れたとおり、国民健康保険は市町村単位の運営から都道府県単位の運営に移行しつつあるようです。
そこで、北海道でも
「統一した条件で保険料負担をしてもらうとすれば○○市ではこうなるハズ」
みたいな率や額を算出して示している、というのが上の表です。(よくある、実際の率や額をまとめた集計表ではない点に注意)
率や額のバラツキは結構あるように見受けられますが、実は北海道は全国的にみても異常に自治体数の多い特殊な都道府県なので、あまりこれが標準だと思わない方がいいかもしれません。
道庁が作成したこの表に資産割がないことから、資産割という項目設定自体が全国的に廃止の方向なのかな?というのが見て取れます。
話は戻って、仮に将来的に夕張市が「この表の通りにするぞ」となった場合は所得割の率は12.6%、均等割は43千円、世帯割42千円となり、現在の夕張市の数値とはかなり乖離が出てきます。(なので、すぐにはできないと思う)
その条件でソロもんの保険料を試算すると次のようになります。
非課税で7割減免が受けられる場合は年間負担額は17千円から26千円と9千円程度の増で済みますが・・・減免前だと所得割が0でも56千円から86千円と+3万円ほどと結構なアップ幅になります。(率は同じ5割アップなので、7割減免のインパクトが大きい)
なお、この国保の都道府県運営への移行ですが、時期が決まっているのか、全部なのか料金だけなのか、といった詳しいことは調べていません。知りたい人はこのリンク先に概要があるので読み進めてみよう~(丸投げ
さらに詳しく知りたい場合は、各自治体で国保の事業計画的なものを作っているはずで、そこに将来の人口統計や高齢化率に基づいて、我が市の国保の料金をどうすべきか、みたいな話が載っていると思うので、それを見てみると何かわかるかもしれません。
夕張市の総評
居住地の選択は保険や水道の料金だけで決定するようなものではありませんが、今回見た居住コストの比較だけでいえば
現状
上下水道26千円+国保15千円=41千円
夕張市に引っ越したら
上下水道67千円+国保17千円=84千円
というかたちになり+43千円、倍以上の負担が必要になってきます。
水や空気が美味い、といったプライスレスの価値はあるのかもしれませんがこの2つの居住コストだけ考えるとかなり厳しいものがあるなというのが印象です。(冬場の燃料費なんかもかかりそう)