ふれふり!

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法人の設立と解散について考える その2 合同会社の定款謄本?

 

最近、いわゆる「ひとり社長」の法人、、、個人事業主の「法人成り」とか「マイクロ法人」などと言われるものについて、少し考えてます。

 

・・・というわけで、前回は法人設立から解散までの流れとトータルコストを調べてみました。

 

2020free.com

 

設立しただけで1年で22万くらいかかります、2年目以降は+7万/年かかります、みたいな話でした。(詳しく調べてはいないけど法人住民税の均等割7万円は月割になるので設立翌月にすぐ解散すれば15万チョイくらいで済むかもしれない)

 

 

今回は設立の際に作らなければならない定款、、、というか、その謄本というものについて。

 

定款と認証と

会社の名前とか事業年度とか基本的なことを定めた文書です。

株式会社の場合は公証役場というところに持って行って手数料を払い、認証(内容確認や情報登録など)という作業をしてもらう必要がありますが、合同会社はそれが不要なので認証手数料分が浮いて安く設立できる、と。

そんな話がどこの説明を見ても書いてあります。

 

合同会社の定款謄本を取るのに2千円?

いくつかのサイトで「定款の謄本を発行してもらう必要があり、これに1ページ250円の手数料がかかるため2千円ほど追加で用意すべし!」との説明をみかけました。

定款8ページくらい、って想定なんですかね。

 

ただこれ、よくわからないんですよね。

 

株式会社であれば定款は前述の通り公証役場で手数料を払ってチェックしてもらって認証を受けるのですが、合同会社では認証不要とされています。

つまり自分で書いた定款を第三者が確認するプロセスが存在しない。(厳密には登記所の登記官が確認はするようですが)

 

各所の説明を見るとこの株式会社と合同会社の違いを明確にせずに「定款の認証を受けるためには」「電子定款の場合は」みたいな説明をしているところが多数見受けられました。

 

その結果、2千円追加で合計6万2千円ほどかかります!みたいな記載をしているサイトを見かけたのですが、なんか説明があやふやでアヤシイ。

 

たぶん中身も実務もわからないままの人が、あちこちのサイトの情報をつぎはぎだらけにした結果、謄本という言葉の意味(?)すらもよくわからないけどまぁいいやとそのまま載せてしまったのではないかと思われます。

たとえばこれ。

合同会社の定款謄本が2000円?

 

合同会社の定款の謄本を2千円ほどで取得できるとの表示がみられます。

 

う、うーん。

謄本をどこの誰が発行してくれるとか、どうやって申請するのかとか、具体的、実務的ななことが書いてないんですよね。

 

それとも自分が知らないだけで、どこかの機関なり誰かなりが、誰も認証していない定款の謄本をたった2千円程度で発行してくれるものなのですかね?

 

自分なら「2千円払うから定款の謄本を発行してくれ」なんて言われてもお断りしたいですが。

何らかの証明(写しですが)を発行するということは要するに信用の切り売りなわけで、たった2千円という廉価で証明書の類いを発行するのは割に合わない。

そういうローコストの証明書発行をしてくれるのはお役所だけでしょう。

 

では合同会社の定款の謄本に関しては、どこかの役所が発行してくれるのでしょうか?

 

残念ながらそんな親切なことはしてくれないようです。

 

これなんかがハッキリ書かれていてわかりやすいです。

法務局は定款を資料として受け取る側であって、内容を認証、証明する側ではない

 

定款に関しては公証役場が役割を担っているのでそっちに行け、と。

 

ただ、公証役場においても、合同会社の定款認証の手数料は設定されていない、みたいなんですよね。

 

これが公証役場の手数料の説明です。

合同会社への言及がない

株式会社やSPC、社団法人等の話はありますが、合同会社の価格は載っていません。

 

ちなみに冒頭に説明した1ページ250円という妄想の根拠というか、元ネタはたぶんこれだと思います。

1枚250円

まぁ実際、株式会社や社団法人で定款認証を受けていれば250円という額は合っているんで、それはそれで間違いではないのでしょうけど・・・

 

法務局ほかあちこちの説明を見る限りどこでも

・合同会社の定款は認証「不要」

と表現していますが、正確には

・合同会社の定款っていうのはそもそも認証「できない」(認証するルートが存在しない)

というのが正しいのではないでしょうか?

 

それとも司法書士や行政書士みたいな士業の人たちが、個人の業務として認証や謄本の発行などをしてくれるものなんでしょうかねぇ(棒

 

合同会社の場合は定款は自分の責任で

というわけで、こういう解説を見たことがないのでまとめ的に書いておくと、

・合同会社では定款の認証は不要で、当然認証手数料も発生しない

・認証を受けていない定款の謄本なんてものを発行してくれる組織は存在しない

・合同会社の定款謄本手数料が~みたいなことを書いてあるサイトはたぶんツギハギだらけのまとめ情報みたいなものなので他の記事内容もアテにしないほうがよさげ

というのが自分が定款謄本について調べてみて至った結論です。

 

とはいえ、これらもあくまで「状況証拠からこうではないか?と推測できる」というレベルの話なので、根拠があって書いているものでもありませんのであしからず。

本当に正確なことを確認したければ業務で定款を扱っている公証役場に電話をして聞いてみるのが一番いいかもしれません。(自分はこれくらいでいいかなと思ったので、電話してません)

 

ちょっと不安なのは、合同会社の運営をしていくにあたって「添付書類:定款の謄本」みたいな条件がついた手続が存在した場合、それができなくなるか、代替の添付書類として何を求められるだろうか?みたいな話ですかね。

これは実際に案件が出てきたときに調べて対応したいと思います。