リフォームの過程で、「鬼目ナット」というのを使うことになりました。
この話は2回目になります(1回目はこのリンク先)。
1回目冒頭で書いたとおり鬼目ナットというのはムラコシ精工の登録商標であるものの、なんか有象無象のメーカーがAmazonで類似品(パチモン)を販売していたため、230個入り色々セット品を入手、試験的に壁内に埋め込む木材に取り付けてみた・・・って話でした。
※「鬼目ナット」という名称が登録商標というだけで、製品構造や製法に特許があって他社が作ってはいけない、ってわけでもないのかな・・・と理解しているけど、それが正しい理解なのか不明・・・。
結果、取り付け自体は普通にできて、問題ない感じだったのですが、DIYするにあたって気になる点もあったので、オリジナルであるムラコシの鬼目ナットをチェックしながら比較してみたいと思います。
なお、今回ムラコシのほうは未購入のため、公式サイトに掲載された情報を参照します。
ムラコシ純正品との比較1(純正品のほうが寸法が明確、耐久性もありそう)
ムラコシ精工の純正品は、サイトにサイズが明記されています。もちろん公差はあるのでしょうが、木工用でこれだけわかれば十分です。
右下の「規格表」からは奥行き(深さL)に関して、ネジのない部分が3.0mmであることがわかります。(L20.0mm-ℓ17.0mm=3.0mm)
※ℓは本来「アルファベットLの小文字」と思われますが、ここではイラスト的な意味で近い「ℓ」を使用
表を見ていくと、これが途中から、、、具体的にはM6X20からは3.5mm、M8x13からは4.0mmになっていることがわかります。
M5の場合は、長さLが13mmのものも20mmのものも、ネジ無しの部分は3.0mmで共通、つまり全体の長さの差はネジ切りのある部分で調整(反映)されていることがわかります。
長さが伸びるとネジなしの部分の長さまで連動して変わってしまうパチモンより、こちらのほうがキッチリしていて分かりやすいです。(まぁM6の場合は途中から3.5mmに変わっているので、一概には言えませんが)
また、同じM4で筒の太さ、というか直径(外径)のほうを見ていくと、5mm弱だったパチモンに対して、ムラコシ純正品は5.5mmとなっています。(Φd3のところ)
どちらもM4なので内径(空洞部分)は同じ4mmとなり、単純計算で金属肉厚が0.75mmと0.5mmというふうに、1.5倍になっています。
ムラコシ 5.5-4.0=1.5mm ->半分の0.75mmが肉厚
パチモン 5.0-4.0=1.0mm ->半分の0.5mmが肉厚
ナットという荷重のかかる金属部品、しかも鬼目ナットという特殊な構造上薄くなってしまう(?)金具でこれくらい違うと、耐久性に大きな差が生じるように思います。
この厚みの違いは自分には結構致命的に思え、今回はパチモンを買ってしまったわけですが、
・次買うなら多少高くてもムラコシだなぁ
というのが実感です。
※M4以外は計測してないので、パチモンもそれなりに厚みがある可能性はないでもない・・・かもしれない
あ、当然過ぎて書きませんでしたが、パチモンのほうはこうした細かい寸法は記載がないため、このように利用者が(適当に)実測するしかない感じです。
ムラコシ純正品との比較2(選べるサイズが少ない問題)
冒頭で書いたとおり鬼目ナットはムラコシの登録商標で、少なくとも国内ではあまり他の製品を見かけません。
(サンコーインダストリーやエスコなど多少見かけるけど・・・あれはなんだろう? OEMで許容されているのか、販売店が便宜的に鬼目ナットという呼称を使ってしまっているのか・・・。あとは「インサートナット」と呼称されて売られていることもあるようです。なお、エスコは製造業ではなく卸業として扱っているのかもしれない・・・?)
どうして他社の話になるかというと、問題なのがムラコシ純正品・・・サイズのバリエーションが圧倒的に少ないことなんですよね。
再掲になりますが、この有り様です。
サイズが限られており、特に小さいものが少ない。よく見るとM6以外は長さの選択肢が少なくて、一択か二択なんですよね。
今回使いたかった「M4サイズのツバつき」だと、ムラコシの中から選ぶとこの20mmの長さのものしかありません。
最初は
・設計、検討した結果、小さいサイズの鬼目ナットは強度が維持できないので市販をやめたのかな?
と思っていたのですが、同じねじ込みで、ツバのないEタイプではM4x10というサイズも扱っています。
ツバのあるほうが多少強度が高いような気がするので、強度維持ができないことを理由に小さいものをツバ付きのラインナップから外したわけではなさそう・・・
また、ねじ込みではなく打ち込みのAタイプでは直径の小さいM3の製品もあります。
逆に、DタイプにあるM8やM10といった大きなものがAタイプには存在しないことから、何かしら使い分けているのかもしれません。
ただ、「引抜強度が必要なら打ち込みではなく、ねじ込みを使ってね」と言っておいて、実際には対応するサイズがないというのは厳しいな・・・と。
同社に確認したわけではないのでなんともいえませんが、マイナー製品だけに「ニーズの強いものだけしか作れない、売れない」というビジネス上の理由があるのかなぁと推測。(商業ベースである以上やむを得ないが)
鬼目ナットの名前が使えないなら、上でみたとおり「インサートナット」という名称で選択肢があれば、それでもいいかなと思いますが・・・実はそれもあんまりないんですよねぇ。やはりニーズが・・・
余談ですが、鬼目ナットとインサートナットの違いをこぴ君に聞いてみた結果がこちらです。
インサートナットの一種ってことらしいですね。納得と言えば納得。
ムラコシを選びたくても種類が少なくて選べないのは非常に残念
冒頭で書いたとおり、今回はパチモンを買ってしまったのですが、結果としてはムラコシにないサイズのものが手に入ったことになります。
狙っていたわけではないのですが、今回少し調べた結果として
・ムラコシ純正品はサイズのバリエーションが少ない
・ムラコシにないサイズのものを買いたい場合はパチモンを選ばざるを得ない
ということになります。
上でみたとおり、ムラコシの公式サイトには寸法がきちんと明記されており、作るものが決まっている場合は買う前にちゃんとした検討、選択が可能です。
(まぁ木工なので、現場や部品にあわせて柔軟に・・・ってのもアリといえばアリなのかもしれませんが)
また、上でみたとおり、
・同じ鬼目ナットでも、どうやらムラコシのほうが肉厚もあって丈夫そうだ
ということもわかりました。
しかし・・・そもそも適合するサイズのモノが存在しないのでは、選ぶも何もありません。
できればムラコシにはもう少しバリエーションを増やして欲しいのと、Amazonとかで販売する際は多種品をセットにしたバラエティパック的なものも欲しいところなんですよね。
一応、50個単位では売ってるようなのですが・・・(高いとは思わないけど、同じサイズのを50個はどう考えても使い切れないな・・・どうしよう、、、ってのはある)
まぁ単価が高くなると多種品も選びづらくなるので、現状としては
・1個単位で販売しているムラコシのオンライン直販で、必要なサイズのモノを必要なだけ組み合わせて買う
というのが妥当なのかな・・・と。
ちなみに、このオンラインだと棚ダボなんかも1個単位で買えて助かります。
L型のプラがついた落下防止タイプの棚ダボなんか、ホームセンターではあまり扱ってなかったりするんですよね。
うちの据付の棚のダボは20年以上の経年でかなり痛んでいたので、全部ここで注文して交換しました。
ほかにも、連結ワッシャーなんかもバラ売りしてますね。
こうした細々したパーツをきっちり作ったうえ、サイトに図面等をきちんと載せているところから信頼感もあります。
できれば利用者がある程度増えて継続的に直販を続けてくれるとありがたいかなと思って紹介した次第。
(ただ、小規模体制でやっているのか、通販の発送はかなり遅かった気がするのでその点はご了承を・・・)