家探しの話の続き。
前回までは、WICの壁紙を剥がしてパテ処理をするところまでの話でした。
作業の途中でちょっと気になったのが、天井にある火災報知器です。
これですね。
壁紙を挟み込んでしまっていて、壁紙のカスのようなものが残ってしまっています。
隣にダウンライトもついていますが、こちらは慣れ親しんだものなので問題なし(ゆっくり引っ張れば写真のように抜けます。が、強引にやると石膏ボードが傷むので要注意)。
壁紙は一般に、こうした装置のところを切り欠いて貼り替える
一般論ですが、内装業者・・・クロス屋さんに壁紙の貼り替えを依頼した場合どうなるかというと、こうした装置は一切手を加えず、装置外周に沿って(切り欠いて)壁紙を貼り替えることになるようです。
仕事なので当たり前ですが、余計なことをすべきではない・・・というよりは何か触って故障等が発生したら対応できないからです(ただし、スイッチやコンセントプレート程度は外すことが多いようです)。
古い建物の場合は、適切な方法で取り外しても機材やその周辺がもとより劣化しておりボロッと逝ってしまうこともあります。
まさに触らぬ神に祟りなしでしょう。
こうなると火災報知器の裏側は、古い壁紙のままということになります。
(もちろんプロなので外からの見た目はほとんどわからないように上手に切り欠いて仕上げるハズですが)
※新築の場合は先に壁紙を貼ってから報知器やダウンライトを取り付けるので、このような問題は起こらないようです。
DIYのいいところはこういうのを自分の判断(責任)でやれるってことですね。
というわけで、さっそく取り外してみましょう。
・・・と思ったのですが、あれ? これ、ネジがありません・・・あれ?
端に小さな穴があいているのでてっきりそれがネジ穴だと思っていたのですが、全然違いました。
どうやって固定されてるんだろう?
火災報知器はカバーを外さないと取り外しできないが、カバーを外すと電源が落ちる?
最初はこれって外せないタイプなの? と思ったのですが、思い切ってカバーを回して外してみると内部に2つネジがありました。
カバーを取り外さないと本体も取り外せず、本体を取り外さないとこのように裏に古い壁紙をガッシリと挟んだままの状態になるというわけです。(横から壁紙だけを引き抜くのは無理)
一方、外したカバー側の裏を見るとこんなん。
見ての通り、カバーは単なるフタではなくセンサーと金属の接点がついています。
ガッシリした厚みからして、この接点は信号線ではなく100V電源っぽいですね。
なので、カバーを取り外した段階で電源供給が絶たれてセンサーがとまり、報知器としては稼働しない状態になる・・・ということのようです。
壁紙作業の際に火災報知器を取り外しても問題ないのか、という不安
これ、今は異音や警報音は鳴ってないけど、そもそも外しちゃっても良かったんだろうか?
年に1回か2回、業者点検が入っているのですが、そのときの様子を見ると、ここで火災が発生したときに管理室に自動で連絡がいって大きな火災発生音が出るようになっているようです。
(この報知器の構造を見る限り、スピーカーなどの単体で音を出す仕組みは内蔵されていないようです)
今回、外したときは何の反応もなく、何かが動き出した、あるいは逆に電気的に何かが止まったという気配は感じませんでした。
念のためすぐに戻しましたが、その後待っても警報音も、管理人室からの連絡もありません。
どういう全体構造(仕組み)になっているのか、ググった感じだと「取り外しても、それをもって管理室に連絡がいくような構造にはなってない」らしい、ということがわかりました。
ただ、見つかったのは口コミ情報ばかりで、確かな情報はないんですよね。どういう構造だからそうなのか、説明しているものも見つけられませんでした。
なので、壁紙作業のあいだずっと、長時間取り外しておくには不安があります。
停電の時は火災報知器ってどうなってるんだろう?と考える
今回のように取り外して意図的に電源を落とした場合のほか、どのような時に電源供給が絶たれるかというと、故障を除けば停電のときでしょう。そして停電は結構ふつうに起こります。
電力会社の停電もあるし、家電が壊れたりして自分の部屋だけ停電したり、他の設備の取替のときなどにブレーカーを落として意図的に停電を発生させることもあります。
そういったことを考えると、
・停電のたびに報知器が作動していたら結構面倒なことになるので、やはり電源が落ちただけでは火災発生と誤認されることはない、と考えるのが妥当
です。
火災報知器の電源がどうなっているかを推測する
ただし、停電でも電源が落ちないようになっている可能性も考えておく必要があります。
そのために電源がどうなっているのか推測してみます。
1.居室内のものとは独立した専用配線になっている可能性->低い
電源をオンオフする必要がないこと、定期点検などを管理組合の費用で行っていることから、電源もマンション共用部のものを使っているという可能性も考えられます。非常用電源やバッテリーと連動していて、多少の停電であれば火災報知器への給電は継続される、という仕組みです。
ただ、火災報知器のためだけにマンション各部屋に専用の100V電源をひくのはあまり合理的ではないし、それを管理室なりで全戸全部屋分管理する(専用ブレーカーとか?)のはさらに大変でなので、可能性は低そうです。
2.各戸の専用電源を利用している可能性->低い
各戸内部で専用電源をとっている可能性も考えられます。
ただ、いくら火災報知器用の電源といっても、何の保護装置もない状態で給電するのはリスクが高すぎます。そして、室内ブレーカーには火災報知器という項目はないので、これも可能性としては低そうです。
あ、メインのブレーカーの直下に直接ひいている可能性はありますね・・・。
ただ、ただねぇ。
ブレーカーに詳しいわけではありませんが、各部屋個別にブレーカーが存在するなかで火災報知器用だけは特別扱いされて主ブレーカーの直下にあるというのも電源の形態として違和感を感じます。(火災報知器が漏電等して主ブレーカーが落ちると、各部屋の家電も全部止まる)
なお、メーカーが電源についてどう言っているかというと・・・うちで使われているホーチキ社のサイトでは見あたりませんでしたが、家庭用の火災警報器を販売しているパナソニックによれば・・・
どうも専用ブレーカーor専用電源が必須ということのようです。「ことになっています。」ということは何らかの法的な縛りや基準があるんですかね。
うーん、でもなぁ。
繰り返しになりますがうちのブレーカー、火災報知器専用のスイッチはついてないんですよね。。。火災報知器と警報器とでルールが違うのかな?
パナソニックも100Vタイプは生産終了とのことなので、世間の実態としては「わざわざ専用線なんてつけてらんないよ。だったら100Vのやつなんて要らない」ということなのかもしれません。
というわけで、現実路線としてはおそらく
・電源は各居室の通常の電源を流用している
・停電の際には、ほかの家電とともに普通に電源が落ちている
・電源が落ちた(停電があった)からといって報知器が誤作動するような構造にはなっていない
という感じではなかろーか、と推測します。
火災報知器のカバーは取り付け、取り外しのときだけ外す(チキン対応)
そんなわけで、大丈夫だろうとは思いつつ、壁紙貼りの際の火災報知器の対処としては
1.カバーを外して本体を壁から取り外し、その状態で壁紙交換作業終了までぶら下げておく
2.念のためぶら下げた状態で再度カバーを取り付け、火災報知器が動くようにはしておく
という感じで壁紙交換の作業を進めることにしました。
数日このままの状態で作業をしましたが、最後まで通して問題は発生しませんでした。
どうやって異常(火災)を伝えているのか謎だったが・・・
この報知器、なんか赤・青・黄の3色のケーブルの先にボタンのようにも見える構造があるのですが、一方でカバーの裏側の形状はフラットに近く、ボタンを押すような構造にはなっていません。(モーターやバネなどもないので、物理的にボタンが押せるとは思えない)
果たしてどういうメカニズムで動くものなのか、何度見てもよくわかりませんでした。
カバーには中央のセンサーっぽいもの以外何も凹凸もなく、検知した異常をどうやって本体側に伝え、本体から管理人室に伝えているのか謎なのです。
まぁいいか特に問題もなかったし・・・とも思ったのですが、なんかまったくわからないというのもムニャムニャする感じでアレなので調べていくと、日本火災報知機工業会というところで火災報知器の図解がありました。
工業会のリンク先はこちら。
うちのは差動式感知器というタイプで、説明はこれです。
これを見るにどうやら
・何らかの電気的なセンサーで火災を感知しているのではなく、熱による空気膨張を利用して物理的にスイッチを動かす、という構造
のようです。
な、なるほどー。
この図の中央に「プラス」というのがありますが、ウチの報知器カバーの真ん中にあるオレンジっぽいやつがそれで、ボタンのように動いて物理的なスイッチがONになる仕組みになっているようです。
そのスイッチが押されましたよ、という情報を「信号線」で伝えていくってことですね。
ということはですよ、
・この2つの端にある金属接点はAC100Vなんかじゃなくて、カバーから本体に火災発生(スイッチON)を伝える信号線
って可能性が高そうです。
なにしろ、他に本体側とカバー側をつなぐものはないわけですから。
アレコレ悩んできたことは何だったんだ問題(問題なのか?
いやー、ビックリです。
上の図解とその理解をひとことでいうと、
・火災報知器には電源なんて必要なかったんや!
ということです。
(もちろん管理人室側には電源あるんでしょうけど・・・)
さんざん停電がどうの、ブレーカーがどうのと悩んできたのに結論としては
・天井の火災報知器に電源うんぬんなんて概念はない
・火災報知器とは単なる「熱で動くオンオフスイッチ」である
という驚愕の結果になりました。
「接点部分がぶ厚いのでこれはAC100V電源だろう」みたいな推測や、そもそも「カバーを外したら電源が落ちる」みたいな認識も、全部が間違っていました。
えぇぇぇぇ・・・って気分です。
世間一般の人はコレ知ってるんですかね。。。(知る知らない以前に、たぶん興味すらないか。。。)
まぁ「平時オフになっていて火災が起きたらオンになる」みたいなスイッチだとすれば、オフの状態でそのまま取り外したら「永久にオンにならない状態」のスイッチ(スイッチですらない?)になるだけで・・・そりゃあ取り外したからって火災発生と誤認されるようなことはあり得ないわけです。
火災報知器に電源が必要だという思い込みとその原因
・・・本当に馬鹿馬鹿しいけど、振り返ってみるとヒントはあったんですよね。
たとえば「スピーカーなど警報を鳴らす機構は内蔵されていない」とか、「つけても外しても電気がオンオフされている気配がない(ピーッといったノイズっぽい音が感じられない)」とか「専用電源が必要とされる割にブレーカーが見あたらない」とか。
そりゃさすがに専用電源必要なのに取り付けてなかったら、建物建設当初の段階で消防署の検査で怒られて修正工事してますわな~。
100V電源不要というのは、これらすべてと符合します。
※なお火災報知器と異なり「火災警報器」のほうは電源が必要みたいです。それは単体で火災を認識し、警報音を出すための回路やスピーカーが必要だったりと、稼働にあたりそれなりのエネルギーが必要だからです。
なお、自分が「電源が必要」「電源があるはず」と頭から思い込んでしまった原因としては
・電器製品に慣れ親しみ過ぎてそれ以外の仕組みを頭に思い浮かべることができなかった
・シーリングライトという、よく似た構造(天井に回して取り付ける)のものが頭にあった
・すぐ隣にダウンライトという、よく似た形状で要電源な設備があった
といった点が思い起こされます。
本当に思い込みっていうのはよくないですね。・・・と常々(たぶん平均的な人より多く)思っているんですが、それでもこうした思い込みをしてしまうというのは我ながら本当に愚かしいな~と思います。
でもまぁ、なんだかよくわからなかったものが多少なりと(その構造が)理解できてスッキリしました。