前回、我が家の夏場のエアコン代(冷房代)を実測して確認したところ。
計測結果を見ての所感としては
自分のように「冷え性なので、キンキンに冷えていると逆に困る」「部屋の中にやや暑いスペースがあってもいいんじゃない?」というユルい感じの運用であれば、ペットボトル1本/日くらいのコストでなんとか運用できるのでは?
という感じでした。
ところで先日「夜通しエアコンをつけても20円強なので、健康のために付けっぱなしにしましょう」といった主張を見掛けました。
これなら30日使っても600円くらいですよね? といった具合です。
今回は、それ本当? そういう運用って現実的? という話。
※あくまでのうちの例をもとにした話です。住環境や使い方によってエアコン代は変わるので、気になる人は(他人の話を鵜呑みにしないで)自分で調べて考えるしかないと思います。
あ、そうそう、一般に売られているワットチェッカーではエアコン用電源が物理的に刺さらないうえ「エアコンや冷蔵庫には使うな」と書かれている可能性があるので注意が必要です。我が家はいくつかあるエアコンのうち、一つだけ一般的な電源プラグだったため、それを計測しました(まぁ実使用しているのがそれだけだったというのもあるんだけど・・・)。どうやら中型機以上は専用コンセント形状らしい・・・
就寝中のエアコン代20円強といった説明は、実際は大半の家では成立しないんじゃ?
前回みた結果から、こういう説明にはカラクリがあり、その実現には
・断熱をした部屋で
・日中からエアコンを使っていて部屋の温度が下がっている状態で
・締め切った状態で
・外気温も下がっており
・実際にエアコンが巡航運転(?)状態になっていて
・就寝中の電気代だけをピックアップするなら
という条件がつくだろう、というのが結論です。
あんまりリアリティ、、、というか実現性がないですね。
数字的な根拠をみていくと、仮に電気代単価30円で8時間のエアコン代24円とすれば
24円/30円/8時間=0.1(kWh)=100(Wh)
となります。
単なる言い換えですが、
・就寝中、平均100Whで運転していれば24円で済む
ということです。
そして、100Whの運転というのは冷えた状態の部屋をそのまま維持する巡航運転的なモードで、それは「断熱した6畳間なら実現できる」というのが前回の結果からの推測。
確かに上の条件を満たして8時間ずっと寝ていれば一晩24円で維持できるかもしれませんが、少なくとも2024年現在、大半の日本の住宅はまともな断熱がされていないでしょうから、最初の条件を満たすことができる家はほとんどないんじゃないでしょうか(特に多湿に対応するために設計された古い家では)
そんなわけで、就寝中のエアコン代20円強というのは
・ほとんどの家では無理じゃね?
というのが自分の結論です。
じゃあ実際、どれくらいかかるのか?というのを計算してみます。
就寝中に冷やし続ければ300~400Wの消費が続いて一晩7~80円くらい
前回の再掲になりますが、これは30畳の断熱してない部屋で、クソ暑かった日の蒸し暑い夜間、外の気温低下もゆっくりで消費電力もゆっくりとしか下がらなかった、という例です。
青で囲ったところを見ると、外気温の低い夜間(就寝中)であっても、隙間だらけの家でエアコンを稼働させればそれなりの電力消費がありそうです。
ざっくり推測になりますが、この日の夜間就寝中の消費電力を平均300Wと仮定して試算すると
単価30円とすれば1時間あたり9円、8時間で72円、30日で2,160円
単価36円とすれば1時間あたり10.8円、8時間で86円、30日で2,592円
となります。
一晩20円どころか70~80円前後というのがいいところじゃないでしょうか。
それでもまぁ2千円前後なら・・・という感じですが、これ、あくまで夜間だけの金額。
じゃあ夜はエアコン使うけど日中は使わないで過ごすのか? という話にもなってくるんですよね。(日中は窓をあけて扇風機、という「日本の(昔の)夏」っていうスタイルもアリっちゃアリかもしれないけど)
高くても使うべきなのかエアコン問題
もちろん、
・省エネだとか倹約をした結果、健康を害して病院にかかっては本末転倒じゃね?
というのは本当にその通りだと思うので、そこは
・エアコン分の電気代をもはや(水道の基本料金のような)基礎的生活コストと割り切る
または
・一念発起して(?)家づくりをちゃんと考え、断熱遮熱といった現代的な構造を取り込んで改修していくべき
なのでは。
というわけで「一般的に就寝中のエアコン代は1日あたり80円前後なので覚悟、判断して使いましょう」という感じですね。
エアコン夜間冷えすぎ問題に対して「部屋のドアを開けておけばいい」という金持ちのアドバイスは?
ところで、就寝中のエアコン使用を控える理由として電気代とは別に「エアコンをつけっぱなしにすると冷えすぎて寒いからだ」という話もあります。
それに対して「部屋のドアをあけて冷気を逃せば冷えすぎることはないのでやってみて」といった感じのアドバイスを見掛けました。
確かに一理あるのですが、これ、注意が必要で
・ロクに断熱されていないスカスカの住宅で冷気を外に送ると、いつまでたっても室内は冷えた状態にならない
ので
・エアコンが「冷やすぞモード」で延々と稼働し続け、電気代がかさんでいく
ということになりそうです。(上の例でいうと、24円運用ではなく80円運用)
むしろ冷気を拡散したりせず
・あえてエアコンの周りだけが冷えている状態
にしておいたほうが、電気代の節約になりそうです。
(エアコンの温度センサーが「十分冷えてるな」と認識して、「冷やすパワーを下げよう」と動くため)
しかしこれではただ電気代を節約しただけで、もとの「冷えすぎ問題」はまったく解決していません。
冷え過ぎず、エアコン代も安く済ますには?
というわけで、この2つのいいとこどりをするには
・寝ている場所から離れた部屋のエアコンを稼働させる
・基本的にその部屋は閉め切ってキンキンに冷やし、温度上昇を抑える工夫もしておく
・キンキン部屋から自分の布団(のある部屋)までの間に少しだけ風の通路をつくっておく
・サーキュレーターなどは使わず、自然に布団まで弱い冷気が送られてくる状態にする
みたいなスタイルが良いのではないか? って気がします。
要は、エアコンが苦手な人や寒すぎると寝られない人はそもそも寝室にエアコンなんて要らなくて、別の部屋のエアコンの冷風を寝室に引き込めばいいって話です。
な、なるほど、そうなのか・・・(自分で書いてて何言ってんだ?)
ただまぁ、6畳間の締め切り実験のときの24畳側は室温が非常に高くなっていて、まったくエアコンの効果は感じられなかったんですよね。だからあの電気代が実現できていたわけで、隙間を大きくして室温の混ざりが大きくなった場合は、やはりエアコンの冷やすモードが稼働して電気代は高くなりそうではあります。
このあたり、どれくらい隙間をあけて温度を混ぜるのか、、、みたいなのは経験から自分でいいあんばいを見つけていくしかないのかな・・・
などと考えていくと、それにしてもどうしてこんなに室温調整に人間が頭を悩ませなければならないのか・・・エアコンくんはそういう空調コントロールをやってくれるハズではなかったのか? AIとはなんなのか? みたいな疑問が色々湧いてきますな・・・
どうせ空調コントロールできないのであれば、ユーザーに任せるためマニュアルモード(詳細設定モード)のようなものを用意してくれればいいんですけどね・・・
理屈はともかく実践するのは難しい?
上の案、自分の例でいえばこの間取り図のうち24畳のリビング側で寝ろって話です。
いやー、理屈上はともかく、現実は難しい・・・リビングで寝るようにしたらば、6畳間はどうなってしまうのか? って話です。いっそ、いろんなものを押し込んで物置にでもすればいいのか・・・?(それはそれでアリかな?)