ふれふり!

素隠居してお菓子。そして興味がないことは無駄なく。

デジタルキッチンスケール(TANITA KD-400SV)を修理した

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愛用10年目くらい

キッチンで計測に使っているデジタルキッチンスケール(いわゆるハカリ)ですが、急に電源が入らなくなってしまいました。

一応電池交換をしてみたけどやっぱりダメで、振ってみると中からカラカラと音がするようになってしまったので故障と判断し、分解、修理しました。

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シール部分に丸いくぼみ

 

分解にあたりネジを探したのですが、裏を見ても見当たらず。

電池のカバーを外したところにもないし、製造番号などが書かれたシールの下に丸いくぼみがあったのですが少し剥がしてみても単に凹んでいるだけでネジはありませんでした。

たぶん今回の作業の中では分解が一番手間だと思います。

 

液晶表示部分の分解

プラスチックパーツの境目の部分にいろいろマイナスドライバーを差し込んで開こうとするも開かず。

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マイナスドライバを差し込むと隙間はできるけど最後までは開かず

 

よく見ると液晶表示部あたりが別パーツになっているようで、表面に貼られたシール状のカバーを端からペロッとはがせました。(TANITAと印刷された黒い部分。カッターなどで端を浮かせて、あとは上に持ち上げて剥がす)
両面テープで止まっているだけなので普通にはがれ、2個あるネジが見えるようになりました。

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黒いシールのようなものがペロリと剥がれる

こんなネジでガッチリ固定されていたうのでは、いくらマイナスドライバを差し込んでも開くわけがありません。

 

さっそくネジを外したのち、最初と同じようにマイナスドライバーをグルッと一周まわして取り外します。

ツメの位置は手前に3,左右に各1,奥に2の合計7個になります。結構多い印象。

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手前側に、中央&左右と3カ所のツメのくぼみ

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横に1カ所(反対側も同じように)

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奥側にも左右2カ所、ツメのくぼみが見える

ツメ周辺は傷だらけになってしまいますが、しかたありません。(あらかじめこのようなツメ位置の情報があればもう少しキズは抑えられるはず)


中の基板はプラ部品の凸凹で動かないようになっているだけで、ネジ止めはされていません。

2個のスイッチと少々のチップ抵抗、チップコンデンサがあるくらい。あまり壊れそうにはありません。

左右からケーブルが伸びているので恐る恐る引っ張ると、そのうち2本、黄色と赤がスコッと抜けました。気持ちいいくらいサッパリした断線です。

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わかりやすい断線2本


これくらいなら修理できそうです。

ただ、分解できた液晶表示部の故障ではなかったので、本体側も分解しなければならなくなりました。

 

本体部分の分解(1)台を取り外す

秤の上の部分(モノを乗せる部分)は本体とは別のパーツで、ツメで外れないように固定されてるだけなので、持ち上げて取り外します。

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こんな感じにカパッと取り外せる(電気配線はなくて単に乗ってるだけ)

具体的な外し方ですが、手前側(液晶側)をグッと下に押し込むと天秤の原理(?)で奥側が浮くようになっているので、浮いたところにマイナスドライバーなどを差し込んでとりあえず隙間をつくります。

そしてその隙間に両手の指を入れて秤の上部をつかみ、思いっきり上手前側に引っ張るとパカッと取れます。


この思いっきり、というのはかなりの力が必要で、正直「壊れてもいいや」くらいの気持ちでやりました。
固定しているツメには深さはないのですが、素材が固くツメ部分はL字構造になっていてしっかり支えられているので、多少力を入れたくらいではなかなか曲がらず,外れません。

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ハカリ上部パーツの裏側


ダラダラやるのではなく、思い切って一瞬でやるのがよさそう。

(中を見るとツメがこういう感じで左右均等な配置になっているので、両手でやったほうがいいかと思います。)

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横から見てもツメ部分に深さはないことがわかる

 

本体部分の分解(2)ネジを外して分解する

本体の4つのネジを外します。

ただ、ここもネジだけではなくツメがありました。ネジ外したらカパッと取れてくれるとありがたいんだけど・・・またツメか・・・

ツメの位置は手前(液晶側)が2つ,左右それぞれに手前・奥の各一カ所づつ計4つ、合計で6つになります。

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写真左のツメ2つが液晶側のもの、残り2つは写真に写ってない反対側にも同じようにアリ

とはいえ、既にネジは外してあるので、細いマイナスドライバーがあれば比較的簡単に外すことができました。

 

どうやって修理すればいいのか考える

本体側は小さい基板が2個。ここにケーブルが半田付けされているようです。

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本体内部全体像

が、どこにつけたらいいのかわからないぞこれ。
液晶基板の左側の方には丁寧に「緑」「青」といった風にケーブルの色が印刷されていたのですが、右側はどこにもありません。

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左側はわかりやすくどの色のケーブルか印刷されている

えー、どこに半田付けすればいいんだろう?と焦っていたら、同じ色のケーブルが中途で浮いていることを見落としていました。
なんのことはない、2本のケーブルは基板から外れてしまったわけではなく、中空で断線していたということでした。

なので、何も考えずに同じ色のケーブル同士を再接続してやれば元通り。

一応回転部分はビニールチューブのようなもので保護されるようになっていますが、たぶんそれではかわしきれない力が長期間に繰り返しかかったんでしょうねぇ。

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透明なビニールチューブのようなもの(少々粉まみれ)で保護されている

 

一応、仮組みの状態で電池を入れ、回路が壊れていないか確認します。仮組みはハンダを使わずその辺にあったクリップで断線部分を押さえた状態です。

エラーは出ているけど大丈夫っぽい。
あんまり良さげなエラーではないけれど。。。どうなんだろう。

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Err6は説明書によればメーカー送りのエラーらしい

 

プラ部品は洗っておく

ここで外したプラ部品は洗って干しておきます。食材を扱うものなので食器と同じように洗い、細かいくぼみなどは歯ブラシで。

乾燥時、できれば紫外線(太陽光)に当てて消毒します。
洗ってもどうせまたすぐ汚れてしまうのでやらなくてもいいかな、と迷ったのですが、ゴミかすとかは故障の原因にもなるのでやっておきました。

 

断線を半田付けして絶縁する

干して乾燥させている間に電気系統をやります。

といっても単に断線した部分を直すだけなのですが、、、断線位置が本体と液晶部の接続部分っぽいんですよね。ケーブルは2本とも同じ位置で断線している。
なので片方のケーブルは根元から取り外して180度回転させて逆接続し、断線位置をズラします。
そしてハンダで断線部分を再結線し、熱収縮チューブで補強、絶縁して終了です。

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3カ所の黒いのが熱収縮チューブ

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ふと見たら黒いケーブルも断線しかかっているのでついでに補修

なおケーブルはあとで抜き差しできるような構造はなっていないので、半田付けの前に、本体との接続部分のビニールチューブの中をきちんと通しておく必要があります。

 

熱収縮チューブはこういうもので適当な長さに切って使います。ケーブルを通した後に熱を加えるとギュギュっと収縮してピタッとケーブルに張り付きます。

本当はドライヤーとかで温めるようですが、自分は面倒なのでハンダごての予熱で加熱してしまいます。(触れるか触れないかくらいの距離まで近づけると収縮する)

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太さはいろいろあるけど今回は一番この中で細いものを使った

透明なタイプもあって、こういう電池1個で動くような製品では透明なほうがわかりやすくていいかもしれません。
ホームセンターの電線コーナーみたいな所で売られています。上のような太さ色々のが欲しい場合は秋葉原とか、今だとMonotaroあたりですかね。日持ち(?)するので持っておくと便利です。上のは20年くらい前に買ったヤツですがまだちゃんと熱収縮して使えました。


修理が終わったら電源を入れて動作確認。
きちんと動作しているようなので、分解したときとは逆の順番で組み立てていきます。
パチンとツメをはめ込んで、ネジをとめていくだけなので簡単です。

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スイッチの外周はグルッと穴になっている

ON/OFFスイッチはタッチセンサーみたいなのではなく物理スイッチなのでカバーとなるシールそのものはなくても動くのですが、スイッチ外周の穴の部分から粉などが入ることを防ぐという重要な役割があるのできちんと元通り貼り付けます。

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だいぶヨレヨレになってしまっているシール・・・

余裕があったら古い両面テープは全部はがして、新しくきれいなものでピッチリと貼り付けておいた方がよさそうです。

自分は面倒なのでそのまま元に戻してしまいましたが。。。

 

ちゃんと修理できているか確認したい!

分解の際にかなり力を入れてしまったため、センサーが歪んで計測値がズレてしまってたりしないか心配になりました。

どうにかチェックしたいのですが、なんかうまい方法が思いつかずにとりあえず水だけ200ml入れてはかってみました。

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計量カップは風袋引き済みで水だけで199g

水の比重はほぼ1.0なので200mlだと200gになるはずですが、199gでした。まぁこのプラスチックの計量カップで200mlが正確に計れているのか、というのがそもそも微妙なので、これでヨシとします。

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横から見ると微妙に200mlを超えている気がするが
「約」とあるので気にしたら負けっぽい

考えてみたらこの秤、0.1gまではかれると謳っているけど数千円の家庭用だし、元々どこまで正確なんだろう?

いわゆる校正作業とか、出荷前の検査とか、やってるとは思えないよねぇ。

そんなことを考えているうちにいいことを思いついたので、金属製のボウルを測ってみることにしました。

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ボウル1号130g

ボウルなんて測ってどうするんだ?という感じですが、実はこれ、以前測ったときに底面に重量をマジックで書いておいたんですよね。

つまり、このハカリの元来の性能(精度)がいかほどかはともかくとして、とりあえず今回の分解修理の前と同じ数値を出していれば、元通りには戻せたと言うことになるわけです。

さっそく答え合わせをすると・・・

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使うたびに風袋引きするのが手間なので、以前測ったときにマジックで書いておいた
(めっちゃ楽なのでオススメ)

ピッタリ一致しました。

ついでにもう1個やると・・・

 

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ボウル2号117g

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字が汚いのは気にしてはいけない

こっちもピッタリ一致です。

 

修理が終わって元通り

というわけで、とりあえず2つのボウルで従前と同じg数になったので、元通りに修理ができて良かったね、という感じで満足しました。

(というか、ないと超不便なのでなおってホント良かった)

断線部分がそのうちまた同じように断線しそうなのと、マイナスドライバーを差し込み過ぎて外装のプラスチックが傷だらけになってしまったのが残念ですが、取り扱いも収納もしやすいので引き続き活用していきたいと思います。

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実際は粉等で汚れるので本と一緒には置きづらいが、キッチンでの収納がしやすいのは確か